おうちの猫の顎に、何やら黒いボツボツが……。
初めて見た飼い主さんはびっくりするかもしれませんが、猫では比較的よく見られる痤瘡(アクネ)かもしれません。
痤瘡(アクネ)は猫ニキビとも呼ばれ、一見すると汚れがついているだけにも見えますが、悪化すると細菌感染から炎症を起こすことがあるので注意が必要です。
目次
1.原因|衛生状態やストレスなど多様 2.症状|顎下や下唇、しっぽの付け根にできる黒くてベタベタしたブツブツ 3.診断|他の皮膚病を除外しながら診断 4.治療|治りにくく再発しやすい。日々のケアが重要 5.予防|シャンプーやふき取り、消毒などで患部を清潔に保つ
猫の痤瘡は猫種、年齢問わず発生します。
皮脂腺の詰まりや過形成、感染、接触刺激などから炎症が起こるものと考えられていますが、なぜそれらが起こるのか、直接的な原因はよくわかっていません。
また、食事やよだれなどで顎下や下唇が汚れたとしても毛繕いがしにくく、不衛生になりやすいことも痤瘡が顎下や下唇にできやすい原因として疑われています。
他にも、ストレスや食事、不衛生な食器、歯周病、薬の副反応なども発生に関与しているのではないかと考えられています。
よく見られるのは、顎下や下唇にできる黒い汚れのようなブツブツです。
しっぽの付け根にも比較的頻出し、このブツブツはベタベタしていることもあります。
また、患部の毛が抜ける、腫れる、血が出る、痒みがある場合は、掻いたり床や壁に擦り付けたりする、などの行動が見られることもあります。
炎症がひどくなったり、細菌感染を起こしたりすると、患部が赤くただれて、膿が出ることもあります。
皮膚の炎症やブツブツの原因となる病気はたくさんあるため、症状と皮膚の検査などから他の病気を除外して診断を進めます。
ニキビダニや皮膚糸状菌症など、寄生虫や真菌を原因とする皮膚病を否定するために、抜毛検査や掻爬(皮膚を引っかく)検査をすることもあります。
症状により治療は様々ですが、炎症がひどい場合や細菌感染を起こしている場合は、内服や注射、外用薬などで治療をします。
また、薬用シャンプーでの薬浴や、サプリメントなどをお勧めすることもあります。
治りにくく再発しやすいため、日々のケアが重要です。
同じような生活をしていても、痤瘡にならない猫もいれば、繰り返し発症する猫もいます。
再発を防ぐためには、食事や水を飲んだ後に口元を拭いてあげるなど、なるべく清潔に保ちましょう。
治療後もシャンプーや消毒などをしたら、しっかり乾かすようにしてください。
また、歯周病ではよだれが増え、口元が不衛生になります。
このため、日々のデンタルケアで歯周病予防をすることは、痤瘡予防にもつながるかもしれません。
猫の挫創(アクネ)についてはこちらのページでも解説しています
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<参考文献>
E Jazic, K S Coyner, D G Loeffler, T P Lewis. An evaluation of the clinical, cytological, infectious and histopathological features of feline acne. Vet Dermatol. 2006 Apr;17(2):134-40.