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猫の口呼吸に要注意!|原因と対処法、隠れた危険性とは?

2024.10.15
猫の病気

「口呼吸」とは、口を開けて息をすることを指し、犬では運動後などによく見られます。しかし、猫の場合はほとんど見られないため、もし猫が口呼吸をしている場合、呼吸器や循環器の問題が疑われます。
特に、口を開けて浅く呼吸している場合は、呼吸が苦しくなっている可能性が高く、命に関わる緊急の状態です。
そのような時は、できるだけ早く動物病院に連れて行くことが大切です。

今回は、猫の口呼吸の原因や対処法、そして動物病院での治療について詳しく解説します。

■目次
1.猫の口呼吸のサイン|愛猫の様子がおかしい?
2.口呼吸の原因|なぜ愛猫が口呼吸をしているの?
3.口呼吸の危険性|放置すると何が起こる?
4.緊急性の判断|いつ動物病院に相談するべき?
5.家庭でできるケア|愛猫の口呼吸を楽にするには?
6.動物病院での診断と治療|愛猫の健康を守るためにできること
7.予防法とご家庭での注意点
8.まとめ|愛猫の健康を守ために

 

猫の口呼吸のサイン|愛猫の様子がおかしい?


猫が口呼吸をする場合、次のようなサインが見られることがあります。

・口を開けて呼吸をしている
・呼吸が荒く、息が苦しそう
・首を前に伸ばしている
・舌が青紫色っぽく変色している
・咳やくしゃみをしている
・鼻水が出ている

ただし、「口を開けて呼吸している」以外の症状は、原因や重症度によっては見られないこともあります。

 

口呼吸の原因|なぜ愛猫が口呼吸をしているの?


<上気道の問題>
猫風邪や鼻炎、副鼻腔炎などで鼻が詰まると、口呼吸をすることがあります。この場合、呼吸の回数やリズムに大きな変化はなく、鼻水やくしゃみが伴うことが多いです。
また、鼻が詰まっているため、ピーピーやズーズーといった音が聞こえることもあります。

猫風邪についてはこちらで解説しています

 

<下気道の問題>
猫喘息や気管支炎、肺炎、肺水腫、さらには肺に腫瘍ができると、呼吸が困難になり口呼吸をするようになります。
特に猫喘息の場合、発作的に症状が現れ、口呼吸だけでなく、頭を前に突き出すなどの異常な姿勢も見られることがあります。

猫喘息についてはこちらで解説しています

 

<心臓の問題>
肥大型心筋症などの心臓病では、心臓が十分に血液を送り出せなくなり、肺血管の高血圧により肺水腫が引き起こされることがあります。これにより、通常の呼吸では酸素が不足し、呼吸数が増え、苦しそうにハッハッと口呼吸を続けます。
口を開けて浅く呼吸をしている場合、命に関わる状態の可能性があるため、すぐに動物病院に行きましょう。

肥大型心筋症についてはこちらで解説しています

 

<その他>
猫は汗をかくことができないため、体温を下げるために呼吸を通じて熱を逃すことがあります(パンティング)。これは犬でよく見られますが、猫ではほとんど見られません。
猫が口呼吸で熱を逃している場合、熱中症や発熱を伴う病気(感染症など)、体温が上がる甲状腺機能亢進症などが考えられます。
その他にも、胸腔内の腫瘍や胸水が肺を圧迫し、呼吸が浅くなり口呼吸をすることがあります。
また、稀に、過度な運動やストレスが原因で口呼吸をすることもあります。

甲状腺機能亢進症についてはこちらで解説しています

 

口呼吸の危険性|放置すると何が起こる?


口呼吸の原因が鼻炎の場合、成猫ではすぐに命に関わることは少ないですが、放置すると慢性化してしまい、治療が難しくなることがあります。また、気管支炎などの呼吸器の病気が長引くと、呼吸器そのものが感染に弱くなり、結果として肺炎を引き起こすことも考えられます。

さらに、チアノーゼ(皮膚や粘膜が青紫色に変わる状態)を伴うような呼吸不全に陥った場合、命に関わる危険性があります。
どの病気でも同様ですが、愛猫に異変を感じたら、早めに原因を見つけ、適切な治療を行うことが大切です。

 

緊急性の判断|いつ動物病院に相談するべき?


猫はほとんど口呼吸をしませんが、ごく稀に激しい運動や強いストレスで一時的に口呼吸をすることがあります。この場合、一時的で繰り返さないようであれば、様子を見ていただいて問題ないかもしれません。
しかし、基本的に口呼吸は病気のサインですので、愛猫が元気そうに見えても早めに動物病院で診察を受けることをおすすめします。

特に、以下のような症状が見られる場合は、命に関わる可能性があるため、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。

呼吸が荒い
苦しそうにしている
舌が青紫色っぽい
歯茎が赤黒くなっている

舌が青紫色っぽくなるのは、全身に酸素が十分に行き渡っていない「チアノーゼ」という状態で、非常に危険です。また、歯茎が赤黒い場合は、重度の熱中症のサインであり、こちらも緊急対応が必要です。

さらに、下痢や嘔吐、吐き気、咳など他の症状が見られる場合も、早めに受診してください。

 

家庭でできるケア|愛猫の口呼吸を楽にするには?


まずは、愛猫が口呼吸をしている原因をいち早く突き止め、適切な治療を受けることが大切です。動物病院に連れて行く際は、愛猫を抱っこするときに、喉や胸を圧迫しないよう注意し、できるだけキャリーに入れて安静に保つように心がけましょう。

 

もし体温が高く、暑い場所にいた場合や、熱中症が疑われる時は、常温の水で体を軽く濡らし、脇の下を冷やしながら急いで動物病院に向かってください。

 

動物病院での診断と治療|愛猫の健康を守るためにできること


動物病院では、身体検査や超音波検査、レントゲン検査、血液検査などを行い、診断を進めていきます。

もし呼吸器系の病気が原因であれば、抗菌剤や抗ウイルス薬、気管支拡張剤、抗炎症剤などを使い、内科的に治療を行います。

一方、心臓病が原因で、肺に水が溜まっている場合には利尿剤で対応します。心臓病の治療は進行を遅らせることを目的としており、もし口呼吸が見られる状態であれば、かなり病態が進行している可能性があります。

また、呼吸を楽にするために酸素室を使用することもあります。
さらに、胸に水が溜まっている場合は、超音波を使って胸水を抜き、その性質を調べるために検査機関へ送ることもあります。

 

予防法とご家庭での注意点


猫は病気がかなり進行するまで、症状を表に出さないことがよくあります。
特に、口呼吸の原因として危険度の高い心臓病は、口呼吸が見られた時点で手遅れになることや、突然命を落としてしまうことが多い病気です。
そのため、愛猫が元気そうに見えても、定期的な健康診断を受け、早期発見・早期治療を心がけましょう。

また、ウイルス性鼻気管炎の原因となるウイルスの中には、ワクチンで予防できるものもあります。
猫喘息は、ハウスダストや喫煙などが原因になることもあるため、定期的な予防接種に加えて、生活環境を清潔に保つことも大切です。

普段から愛猫の健康状態をチェックし、少しでも異変を感じた場合は、様子を見ずに早めに動物病院で診てもらうことが大切です。

 

まとめ|愛猫の健康を守ために


猫は普段、口呼吸をほとんどしません。そのため、口呼吸が見られた場合は、鼻や気管、肺、もしくは心臓などに何らかの問題があるサインと考えられます。
特に心臓の病気で浅い口呼吸をしている場合、症状がかなり進行している可能性があり、早急な受診が必要です。

過去の記事でも繰り返しお伝えしていますが、病気の治療の基本は「早期発見」と「早期治療」です。早く気づいてあげることで、突然の悲しい別れを防ぐことができ、愛猫にとっても飼い主様にとっても、負担の少ない治療が可能になります。

猫の健康診断や、気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

 

■関連する病気はこちらで解説しています
猫カリシウィルス感染症
肺炎
愛犬や愛猫が咳をしている|考えられる疾患と対応は?
猫の心臓病|拘束型心筋症について
犬と猫の熱中症について│日常で注意すべきポイントとは?

 

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