犬や猫の目をよく見ると、目頭に白い膜のようなものがあります。
これは瞬膜(あるいは第三眼瞼)と呼ばれる犬や猫の「第三のまぶた」で、チェリーアイ(第三眼瞼腺脱出)はこの瞬膜にある涙を分泌する腺が飛び出て、腫れてしまう病気です。
目頭にできる赤くて丸いふくらみがサクランボに似ていることから、チェリーアイと呼ばれています。
初期には痛みはありませんが、そのままにしておくと流涙症や結膜炎につながるので、気づいたら早めに受診しましょう。
目次
1.原因|犬種によっては若いころから発生する
2.症状|目頭に赤いできものができる
3.診断|特徴的な症状から診断できる
4.治療|逸脱した第三眼瞼を手術で本来の位置に戻す
5.予防|見つけ次第病院へ
先天的(生まれつき)に第三眼瞼腺を固定している結合組織がない、もしくは弱いことで発生すると考えられていますが、この理由についてはよくわかっていません。
ビーグル、アメリカン・コッカー・スパニエル、チワワ、ボストン・テリア、ペキニーズなどの犬種で多く、若いころ(主に4歳未満)から発生するため、遺伝性の病気とも考えられています。
先天性以外でも、怪我に続いて発生することもあります。
チェリーアイの特徴的な症状は、目頭に小豆や米粒、サクランボのような、ぷっくりした赤い腫れができることです。
異物感があるため、犬や猫が目を掻いたり、物に擦りつけたりします。
また、涙が増える、充血するなどの症状も見られ、進行すると流涙症や結膜炎を起こすこともあります。
チェリーアイはその特徴的な見た目から、比較的容易に診断できます。
診察では、腫れて飛び出しているものが第三眼瞼か、腫瘍などほかの病気ではないかを確認します。
また、結膜炎や角膜潰瘍などを併発していないかも確認します。
ピンセットなどを用いた応急処置で一時的に収まる場合や、炎症を抑える目薬などで治療をすることで治る場合もあります。
しかし、そもそもチェリーアイは瞬膜を固定する組織がない、または弱いことが原因で起こるため、再発も少なくありません。
治らない、すぐに再発する、再発を繰り返すなどの場合は、手術で瞬膜を本来の位置に戻します。
また、併発している目の病気によっては、点眼治療などを行います。
チェリーアイの手術については当院でも症例がありますので、詳しく知りたい方は下記のページをご確認の上、当院までお問い合わせください。
瞬膜腺突出(チェリ一アイ)はこちらのページでも解説しています。
先天性のものについては予防法がありませんが、進行してドライアイや重度の結膜炎になると治療が難しくなります。
普段から愛犬や愛猫の表情や様子をよく見て、少しでも気になることがあればなるべく早めに受診しましょう。
目のトラブルは普段の様子から気づきやすいものです。
命に別状はなさそうだからといって放っておくのではなく、おかしな様子などがあれば早めに連れていらしてください。
ドライアイについてはこちらのページでも解説しています
結膜炎についてはこちらのページでも解説しています
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<参考文献>
Dan G O’Neill, Yahui Yin, Roser Tetas Pont, Dave C Brodbelt, David B Church, Camilla Pegram, Minna Mustikka. Breed and conformational predispositions for prolapsed nictitating membrane gland (PNMG) in dogs in the UK: A VetCompass study. PLoS One. 2022 Jan 26;17(1):e0260538.
Constance White, Marnie L Brennan. An Evidence-Based Rapid Review of Surgical Techniques for Correction of Prolapsed Nictitans Glands in Dogs. Vet Sci. 2018 Aug 23;5(3):75.