治らない、治っても再発を繰り返す外耳炎を、慢性難治性外耳炎と言います。
外耳炎は犬でよく見られる病気ですが、悪化すると手術をしないと治療が難しくなる場合もあります。
慢性難治性外耳炎は治療に時間がかかる病気です。犬の状態や原因を確認しながら、手術も含めた治療を、飼い主様とよく相談して進めていきます。
目次
1.原因|アレルギー性皮膚炎や内分泌疾患、犬種による特徴など
2.症状|外耳炎が治らない、治ってもすぐに再発する
3.診断|耳鏡やビデオオトスコープでの観察。原因を追究するための検査も
4.治療|慢性・難治性になる原因に合わせた治療を。手術が必要な場合も
5.予防|日頃から耳を観察する
外耳炎の一般的な原因には、細菌や真菌、外部寄生虫への感染があります。
これらの多くは原因に対する治療を行うことで治りますが、慢性難治性外耳炎の場合、治療に反応しなかったり、治っても再発を繰り返したりします。
その理由としては、アレルギー性皮膚炎(犬アトピー性皮膚炎、食物アレルギー)や脂漏性皮膚炎などの皮膚の病気、内分泌疾患、他の病気により免疫が低下しているなど、他の病気が影響していると考えられています。
また犬種によっては、耳毛が多い、垂れ耳などといった生まれつきの特徴があり、外耳炎にかかりやすい場合があります。特にコッカー・スパニエルは慢性難治性外耳炎が多く見られるため、注意が必要です。
あるいは耳道内のポリープや腫瘍、異物などが原因になることもあります。
一般的な外耳炎の症状は、耳垢が多い、くさい、膿が出ている、耳が赤く腫れる、耳を痛がる、耳を振ったり擦り付けたりする、などです。
慢性難治性外耳炎では、これらに加えて、治療してもなかなか治らず、たとえ治ってもすぐに再発します。
長期間、外耳炎の状態が続くことで、耳道内や耳介の皮膚が腫れたまま戻らなくなり、耳道が狭くなって、通常の治療では治らなくなります。
炎症が続くと中耳炎にまで広がってしまう危険性もあります。
耳鏡や耳内視鏡(ビデオオトスコープ)で耳道内の状態を確認し、耳の皮膚や耳垢の検査をして、原因となる細菌、真菌、外部寄生虫を確認します。
一般的な外耳炎では、原因に合わせた抗菌薬や抗真菌薬、駆虫剤、必要に応じて抗炎症薬などの投薬治療で治ります。
しかし、治らない、再発を繰り返す慢性難治性外耳炎の場合は、アレルギー検査やホルモン検査など、様々な角度からその原因を追究します。
また、必要に応じて、CT検査で耳の状態を詳しく調べることもあります。
原因がわかれば、原因への治療を並行しつつ、外耳炎の治療を行います。
例えば、犬アトピー性皮膚炎や食物アレルギーの場合は、その治療と、アレルゲンを除去するための食事療法やシャンプー療法などを行います。
内分泌疾患の場合は、その治療を行い、耳道内にポリープや腫瘍がある場合は手術で除去します。
内科治療のみでは治らない場合は、外科手術を選択することもあります。
外耳炎は痛みや痒みを伴うため、犬にストレスを与えます。
日頃から健康な状態を把握しておき、日頃から耳の様子は観察し、異常がある場合は早めに治療してあげましょう。
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<参考文献>
Richard G.Harvey, Gert ter Haar. 外耳炎の病因と病態. In: 犬と猫の耳鼻咽喉疾患. 嶋田照雅 監訳. 緑書房.