ペットが何か食べてしまったというのは意外と多いものです。
当院では内視鏡もありますが、全ての異物が内視鏡で摘出できるとは限りません。胃を切開しないと異物が取り除けないケースも多くあります。胃を切開したあとはしばらく絶飲絶食となりますので、数日入院となります。
異物グセは若い犬ではよくある事故です。ただ単に吐かせるだけで終わる場合もありますが、気をつけるに越したことはありません。
手術で切開する場所は鳩尾から大体おへそのあたりまでです。ちなみに術後の傷は目立ちません。
問題の胃が見えました。
今回は鳥の骨を丸呑みしたということだったので、鳥の骨を胃の外から掴んで、胃と一緒に持ち上げます。
支持糸といって、胃がお腹の中に落ちていかないように、胃の表面に糸をかけます。
出来るだけ、小さい切開で異物が取り除けるよう、異物の角度も考えながら胃を切開します。
問題の鳥の骨を摘出するところです。しかし見事なまでの丸呑みです。
胃を縫合していきます。消化管というのは縫合に失敗すると、お腹の中に腸管内容物が漏れ出し、腹膜炎を起こしてしまうので、慎重に縫い合わせます。
通常胃は2重に縫っていきます。まずは胃の粘膜を縫い合わせます。
粘膜が縫い終わったら、次は胃の外側を縫い合わせます。この時に縫合糸が出来るだけ表面に見えないようにします。術後の癒着を防ぐためです。丁寧に縫えば写真のように切開した部分もわからなくなります。
お腹を縫い合わせて終了です。2度目はないように気をつけましょう。