ペットが誤って異物を食べてしまい、運が悪く腸につまってしまった場合、重篤な症状が見られるようになります。
食欲不振や元気がなくなるだけでなく、嘔吐や下痢などが見られます。時間の経過とともに異物によってつまってしまった腸は血行が悪くなり、最悪壊死していきます。
一度壊死した腸は再生されないため、早急に手術にて切除しないといけません。腸が壊死した範囲によって切除する長さも変わりますし、切除した腸をつなぎ合わせる手術は、腸管の太さにより難易度が変わります。
つまらせる原因のものが紐などの場合、腸全体が壊死してしまうケースもあります。靴紐やパーカーの紐など、特に若いねこちゃんは大好きなので、とにかく気をつけましょう。
腸管の閉塞は大抵の場合緊急手術となります。手術は急いで行われますが、それでも繊細な手術です。切開一つも気を緩められません。
腸管の中央が壊死しており、腸自体も変色しています。通常であればもっと綺麗なピンク色をしています。
壊死した腸はそのままにしておくと、腸に穴があいてしまうため、切除して健康な腸同士をつなぎ合わせないといけません。
消化管の縫合はとにかく細かく繊細です。腸管がうまく癒合しないと、腸の内容物が漏れ出し、腹膜炎を起こしてしまうからです。
とにかく細かい作業になります。慎重に慎重に。
腸管を1周ぐるりと回しながら縫合します。執刀医が見やすいように助手が補助をします。助手の熟練度によっても手術の出来がだいぶ変わってきます。
腸管の縫合が完了しました。
別の手術の写真ですが、縫い終わったあと、わざと水を含ませて、縫いあとから水がもれないかチェックします。この時、完全に縫い合わせられていれば、水は1滴でもたれてきません。
腸以外にも切開を加えているところがあるので、そこもできるだけ元の状態に近くなるように縫合していきます。
時間が経つと何が入っていたのかわかりません。今回は植物の種のようでした。以前には半年前に食べたという消しゴムが出てきたこともあります。
閉腹しています。しばらく絶食になります。