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犬や猫の口が臭う|考えられる疾患と対応は?

2024.09.20
犬の病気猫の病気

愛犬や愛猫の口臭が気になることはありませんか?口の中の病気、例えば歯周病が原因のこともありますが、実はそれだけではありません。腎臓病などの全身性の病気や、食べ物の影響も関係していることがあります。

食後に一時的に臭う程度であれば、大きな心配はいらないこともあります。しかし、口臭が長期間続く、もしくは以前よりも強くなっている場合は、何らかの病気のサインかもしれません。その場合は早めにご来院いただき、原因を確認することをおすすめします。

今回は、犬や猫の口臭の原因と、どのように対応すべきかについて解説します。

■目次
1.口臭の主な原因
2.観察のポイント
3.動物病院での口臭の診察
4.動物病院での治療とご家庭での対処法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ

 

口臭の主な原因


犬や猫の口臭にはさまざまな原因が考えられますが、主に以下の3つの要因が関係しています。

<口の中の病気>
犬や猫の口臭の原因で最も多いのは、歯周病です。それ以外にも、虫歯や口腔内の腫瘍、口内炎などが原因で、口臭が強くなることがあります。

歯周病になると歯周病菌が増殖し、その細菌が臭いの元となるガスを発生させます。また、歯周病が進行するとよだれが増え、食べかすが口の中や周りに残りやすくなり、これも口臭の原因となります。

また、口腔内の腫瘍や口内炎でも同様に、よだれが増え、それが口臭を悪化させることがあります。

歯周病についてはこちらで解説しています

特に猫の場合、猫免疫不全ウイルス感染症や猫白血病の一症状として口内炎が見られることがあり、それが口臭の原因となることもあります。

猫免疫不全ウイルスについてはこちらで解説しています
猫白血病についてはこちらで解説しています

 

<全身性の病気>
腎臓病になると、体内で処理しきれなかった尿素やアンモニアが血液を通じて口の中に分泌され、口臭が「おしっこ臭く」なることがあります。

慢性腎臓病についてはこちらで解説しています

また、肝臓病の場合、アンモニアのような特有の臭いが口臭として感じられることがあります。これは、肝臓がアンモニアをうまく処理できなくなるためです。

糖尿病になると、口臭が熟した果物のように甘酸っぱく感じられることがあり、これも全身性の病気が原因です。
さらに、全身性の病気が進行することで唾液の分泌量が減少し、免疫力が低下するため、歯周病になりやすくなり口臭を引き起こすこともあります。

糖尿病についてはこちらで解説しています

 

<その他の原因>
食べ物や飲み水の影響で一時的に口臭が発生することもありますが、通常であればしばらくすると自然に臭いは消えます。
また、異物を誤飲した場合、物理的な影響や感染症、消化不良などが引き起こされ、それが口臭の原因となることもあります。

誤飲誤食についてはこちらで解説しています

さらに、ストレスによって口の中が乾燥すると、汚れが溜まりやすくなり、免疫力が低下するため歯周病が進行し、口臭が強くなることもあります。

 

観察のポイント


動物病院を受診する前に、ご自宅でチェックしていただきたい観察のポイントをご紹介します。普段の様子を少し注意深く観察するだけで、診断の手助けになることがあります。

<臭いの特徴>
まず、口臭が以前と比べてどのように変わったかを観察してみてください。
臭いはどんな特徴がありますか?腐ったような臭い、おしっこのような臭い、または甘酸っぱい臭いでしょうか。臭いの違いによっては、特定の病気が疑われることもあります。

 

<同時に見られる他の症状> 
次に、口の中の状態を確認しましょう。口の中が乾いていないか、歯石が溜まっていないか、口内炎や歯茎、口の中に腫れや腫瘍ができていないかをチェックしてください。
また、口の中以外でも、おしっこの量や水を飲む量、食事の量に変化がないか、白目が黄色くなっていないかなど、全身の変化にも注意を払いましょう。

 

<口臭の持続期間とタイミングや程度の変化>
口臭はどのくらい続いていますか?一日中気になるのか、それとも特定の時間帯に強く感じるのか、また臭いの強さに変化があるかなども、ぜひ確認してください。

 

動物病院での口臭の診察


口臭が気になる犬や猫の場合、まずは口腔内の視診と触診を行います。これにより、歯石のつき具合、歯のぐらつきや虫歯の有無、歯茎の腫れや出血、腫瘍や口内炎がないかを確認します。

もし歯周病が疑われる場合、歯の根元の状態を詳しく確認するために、頭部のレントゲン検査が必要になることもあります。

また、口臭の原因が全身性の病気である可能性を調べるために、血液検査や尿検査を行うことがあります。さらに、CT検査やウイルス検査、ホルモン検査など、より専門的な検査が必要になる場合もあります。

もし口の中に腫瘍が見られた場合は、腫瘍の種類や悪性度を確認するための検査も実施します。この場合、検査に麻酔が必要なこともあります。

 

動物病院での治療とご家庭での対処法


口臭の原因に応じた治療を行いますが、主に次のような対応が考えられます。

<歯周病の場合>
歯周病が原因の場合、まず麻酔をかけてスケーリング(歯石取りや歯周ポケット内の歯周病菌の除去)を行います。場合によっては、抜歯が必要になることもあります。
スケーリングでは今付いている歯石を取り除きますが、時間が経つと再び歯石が付いてしまうため、予防としてご家庭での歯磨きがとても重要です。
日常的に歯磨きを続けることで、歯周病の進行を防ぐことができます。

歯科・口腔外科のご案内はこちら

 

<全身性の病気の場合>
腎臓病や肝臓病、糖尿病が原因の場合は、継続的な治療が必要になります。これには、食事療法や定期的な検査、投薬などが含まれます。
ご家庭でも、獣医師の指導に基づいた食事管理や適切なケアを行っていただくことが大切です。

 

予防法やご家庭での注意点


犬や猫の口臭の主な原因である歯周病は、ご家庭での歯磨きである程度予防できます
犬や猫は人間に比べて歯石が溜まりやすい動物です。食べかすや細菌からなる歯垢は、3日ほどでカルシウムなどと結びつき、歯石になります。
歯石は表面がザラザラしているため、さらに歯垢が付きやすくなり、歯石の上に次々と歯石が積み重なることで、歯周病菌が増えやすい環境ができてしまいます。

ただ、歯垢の段階であれば、毎日の歯磨きで取り除くことができます。愛犬や愛猫の健康を守るためにも、毎日のデンタルケアをぜひ習慣にしてみてください。
また、定期的に動物病院で歯科検診を受け、口の中の状態をチェックしてもらうとよいでしょう。タイミングを見てスケーリングを行えば、さらに効果的です。

歯磨きのコツはこちらで解説しています

さらに、口臭の原因となる全身性の病気は、バランスの取れた食事や適度な運動で予防できる場合もあります。
ただし、病気の初期症状は見つけにくいことがあるため、定期的な健康診断を受けることで早期発見に努めることが大切です。

 

まとめ


口臭は、愛犬や愛猫の健康状態を示す重要なサインです。口の中だけでなく、全身性の病気が原因であることもありますので、口臭が気になったらすぐに動物病院を受診するようにしましょう。

どの病気にも言えることですが、早期発見と早期治療が何より大切です。早く見つかれば、飼い主様にも愛犬や愛猫にも負担の少ない治療ができ、治療の効果も高まることが多いです。
日頃からしっかり観察し、少しでも異変を感じたら、ぜひお早めにご相談ください。

 

■関連する病気はこちらで解説しています
犬と猫の根尖周囲膿瘍(歯根膿瘍)について│皮膚を突き破って膿が出ることも…
犬と猫の下顎骨骨折について|重度の歯周病が原因になることも
健康的な食生活と適度な運動で防ぐ│猫の糖尿病
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