愛犬や愛猫が急に下痢や嘔吐をすると、とても心配になりますよね。
下痢は通常よりも便の水分量が多くなった状態で、水っぽいものからドロドロのお粥のようなものまでさまざまです。
一方、嘔吐は胃の中の消化途中のものを吐き出すことで、飲み込んだ直後に吐き出す「吐出」とは異なります。
今回は、犬や猫が下痢や嘔吐をしたときに考えられる原因や、適切な対応方法について詳しく解説します。
■目次
1.犬や猫が下痢・嘔吐をしているときに考えられる疾患
2.応急処置と対処法
3.動物病院に連れて行くタイミングは?
4.予防法やご家庭での注意点
5.まとめ
<急性胃腸炎>
食事の変化による消化不良やストレスなどが原因で、一過性の嘔吐や下痢が見られます。
軽度な場合は1〜3日で治りますが、特に子犬や子猫では急激に悪化して脱水を引き起こすこともあるため、早めに動物病院に連れて行きましょう。
胃腸炎についてはこちらで解説しています
<炎症性腸疾患(IBD)>
原因ははっきりしていませんが、腸に炎症を引き起こす病気です。
治療をしてもなかなか治らない嘔吐や下痢、食欲不振、食べているのに痩せるなどの症状が3週間以上続くことがあります。
炎症性腸疾患についてはこちらで解説しています
<異物誤飲>
おもちゃやタオルなど、食べ物ではないものを飲み込んでしまい、それが胃や腸に詰まることで嘔吐や下痢を引き起こします。
また、中毒性のある食べ物を摂取した場合にも嘔吐や下痢が見られることがあります。
異物誤飲についてはこちらで解説しています
<腸閉塞>
腸が詰まることで、嘔吐や便秘、時には下痢が発生します。
消化できないものが詰まる、腫瘍による圧迫、腸の一部が折り畳まれる(腸重積)などが原因ですが、異物誤飲による腸閉塞が最も多いとされています。
腸閉塞についてはこちらで解説しています
<膵炎>
急性膵炎と慢性膵炎があり、急性膵炎は突然の激しい嘔吐が特徴で、迅速な治療が必要です。
猫では明らかな症状が少ない慢性膵炎が多く見られますが、犬では急変する急性膵炎が多いとされています。急に何度も吐く場合はすぐに動物病院へ連れて行ってください。
犬の膵炎についてはこちらで解説しています
猫の膵炎についてはこちらで解説しています
<細菌感染症>
カンピロバクター、クロストリジウム、サルモネラなどの細菌感染が胃腸炎を引き起こすことがあります。
<ウイルス感染症>
パルボウイルス、アデノウイルス、ジステンパーウイルスなどによる感染症は、激しい下痢や血便を伴うことがあります。
これらのウイルスは感染力や致死率が高く、発症後の治療が難しいため、ワクチンで予防することが重要です。
犬パルボウィルス感染症についてはこちらで解説しています
猫パルボウィルス感染症についてはこちらで解説しています
<寄生虫感染症>
回虫、条虫、コクシジウムなどの寄生虫が原因で、下痢や嘔吐が起こることがあります。また、貧血や血便が見られることもあります。
寄生虫は糞便を顕微鏡で観察することで確認できます。
<その他>
肝臓、胆嚢、腎臓の病気や、避妊手術をしていないメスで見られる子宮蓄膿症も、嘔吐や下痢の原因となることがあります。
子宮蓄膿症についてはこちらで解説しています
犬や猫が下痢をしているときは、体から水分が失われて脱水症状を引き起こすことがあります。そのため、犬猫用の経口補水液などでこまめに水分補給をしてあげるとよいでしょう。
嘔吐の場合も脱水のリスクがありますが、胃が食べ物を受け付けない状態ですので、基本的には絶食・絶水が必要です。
また、水を飲ませると刺激になってさらに吐いてしまうことがあるため、吐いた直後は口の中を潤す程度の少量にとどめてください。動物病院では皮下点滴などで水分を補給することができます。
急性胃腸炎の場合も、胃腸を休ませるために食事を控えめにしましょう。しかし、猫では絶食が原因で肝リピドーシス(脂肪肝)を引き起こし、肝機能障害になる危険がありますので、過度の絶食は避けるべきです。
食欲がない場合は、早めに動物病院に相談してください。
下痢や嘔吐をしていても元気で食欲があり、1回で治まる場合は様子を見ても問題ないかもしれません。
しかし、以下のようなケースでは急激に悪化することがあるため、早めに動物病院に連れて行きましょう。
・便に血が混じっている
・黒いタール様の下痢便である
・下痢や嘔吐が続く
・何回も吐く
・元気や食欲がない
・子犬や子猫の場合
・老犬や老猫で基礎疾患がある場合
人間と同じように、犬や猫の消化器系のトラブルは食べたものに大きく影響されますので、食事管理はとても重要です。
フードを変更する場合は、新しいものを少しずつ混ぜながら、徐々に慣れさせると良いでしょう。途中でお腹の調子が悪くなる場合は、そのフードが合っていない可能性があるので、中止しましょう。
また、ストレスも消化器系に影響を与えることがありますので、できるだけストレスを避けるように心がけてください。
特にこの季節は花火大会などもありますが、大きな音と光は犬にとって大きなストレスになります。
まれに花火大会に犬を連れて行く方を見かけますが、なるべく連れて行かないようにしてください。
寄生虫感染症は定期的な駆虫薬で予防し、ウイルスによる腸炎はワクチンで予防することができます。病気になってから治療するのではなく、事前に予防することを心がけましょう。
下痢や嘔吐をする原因は、消化器系の病気や感染症、肝臓や腎臓などさまざまです。下痢や嘔吐は犬や猫にとって苦しい症状であり、放置していると脱水を引き起こすこともありますので、これらの症状が見られたら早めに動物病院を受診してください。
また、軽い症状でも長く続く場合は病気の可能性があるので注意が必要です。何か気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。
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