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犬と猫の脱毛は病気のサイン?|皮膚病やホルモン異常の症状を見逃さないために

2024.12.06
犬の病気猫の病気

「最近、抜け毛が増えた気がする」「毛が薄くなっている部分がある」
愛犬や愛猫にこのような変化が見られると、飼い主様としては心配になりますよね。

季節の変わり目に見られる「換毛」であれば特に問題はありませんが、病気が原因で脱毛している場合には、早めの対応が必要です。そのため、「ちょっと変かも」と感じたら、できるだけ早めに獣医師に相談することをおすすめします。

今回は犬や猫の脱毛について、原因と対策、要注意な症状、動物病院への相談のタイミングなどを解説します。

■目次
1.犬や猫の正常な換毛と異常な脱毛|見極めるポイントとは?
2.脱毛の主な原因
3.家でできる脱毛対策とケア方法
4.動物病院への相談のタイミング
5.まとめ

 

犬や猫の正常な換毛と異常な脱毛|見極めるポイントとは?


犬も猫も、正常な換毛と異常な脱毛には明確な違いがあります。それを知ることで、愛犬や愛猫の健康状態をより正確に見極めることができます。

<正常な換毛>
犬や猫には、春と秋の年2回「換毛期」があり、約1ヶ月をかけて毛が生え変わります。

・春の換毛期:暖かい冬毛が抜け、涼しい夏毛に生え変わります。
・秋の換毛期:夏毛が抜け、ふわふわと暖かい冬毛が生え揃います。

特に、ダブルコートと呼ばれる上毛(オーバーコート)と下毛(アンダーコート)がある犬種や猫種では、春の換毛期に大量の冬毛が抜けることがよくあります。このため、部屋中が毛だらけになることも。
一方で、ダブルコートを持たない犬種や猫種では、明確な換毛期がない場合があり、1年を通して少しずつ毛が抜け変わります。

換毛の場合、毛が抜けても新しい毛がすぐに生えてくるため、「ハゲ」ができることはありません これが病的な脱毛と大きく異なる点です。

 

<異常な脱毛の特徴>
病気やその他の原因による異常な脱毛には、以下のような特徴が見られることがあります。

痒みや痛みを伴う
皮膚が赤くなる
一部分だけ毛が抜ける
左右対称性に抜ける
毛が途中で切れて短くなっている

 

脱毛の主な原因


脱毛にはさまざまな原因が考えられますが、大きく分けて以下のようなケースが挙げられます。

<皮膚の病気>
皮膚が赤くなる、脱毛部分を舐めたり掻いたりする、湿疹やかさぶたができるといった症状は、皮膚病による脱毛が疑われます。
痒みや痛みを伴う場合、患部を舐めたり掻いたりすることで症状が悪化してしまうため、早めに獣医師に相談しましょう。

脱毛を引き起こす皮膚の病気には、以下のようなものがあります。

アレルギー性皮膚炎(アトピー性皮膚炎など):強い痒みが特徴で、舐めることで脱毛が進行します。
アレルギー性皮膚炎についてはこちらから
アトピー性皮膚炎はこちらから

 

膿皮症:赤みやかさぶたが現れ、円形の脱毛が見られます。
膿皮症についてはこちらから

 

マラセチア性皮膚炎:皮膚が赤くただれ、カビのようなにおいがするのが特徴です。
マラセチア性皮膚炎についてはこちらから

 

疥癬:非常に強い痒みがあり、掻いたり舐めたりして脱毛が進みます。

疥癬症についてはこちらから

 

皮膚糸状菌症:赤みやふけ、かさぶたを伴い、円形の脱毛が起こります。

 

ニキビダニ症:赤みと円形の脱毛が特徴です。

 

パターン脱毛症:左右対称に脱毛が進行しますが、痒みはありません。

 

淡色被毛脱毛症:薄い色の毛だけが抜ける脱毛症で、痒みはありません。

 

黒色被毛形成異常症:黒い毛だけが抜ける脱毛症で、こちらも痒みはありません。

 

アロペシア X:原因不明の脱毛症で、痒みは伴いません。

 

<ホルモンの病気>
中高齢の犬や猫では、ホルモンの異常によって脱毛が起こることがあります。皮膚以外にも全身に症状が見られる場合が多いため、注意が必要です。

クッシング症候群:中高齢の犬に多く、体幹部で左右対称性の脱毛が見られます。他にも多飲多尿、多食、太りやすい、お腹が膨れるといった症状が現れます。

クッシング症候群についてはこちらから

 

甲状腺機能低下症:中高齢の犬に多く、全体的に毛が薄くなるのが特徴です。元気がなく、老けた印象を受けることもあります。

甲状腺機能低下症についてはこちらから

 

甲状腺機能亢進症:中高齢の猫に多く、被毛がボサボサになり脱毛することがあります。よく食べるのに痩せる、性格が変わるなどの症状が見られます。

甲状腺機能亢進症についてはこちらから

 

<ストレス>
ストレスも脱毛の原因となることがあります。ストレスによるホルモンバランスの乱れや、自分で体を過剰に舐めたり掻いたりすることで脱毛が進むケースです。

猫の場合、「心因性皮膚炎」として知られ、ストレスによって特定の部位を舐め続けて脱毛や炎症を引き起こすことがあります。

心因性皮膚炎についてはこちらから

 

<生活習慣やグルーミングの問題>
栄養不足や不適切なグルーミングも皮膚の健康に影響を与え、脱毛の原因になります。

栄養不足:バランスの悪い食事は皮膚や被毛の状態を悪化させる要因となります。

ブラッシングやシャンプーの不足:適切なケアが行われないと皮膚トラブルが発生しやすくなります。

過剰なケア:ブラッシングやシャンプーのしすぎも皮膚に負担をかけ、トラブルの原因になることがあります。

 

家でできる脱毛対策とケア方法


愛犬や愛猫の脱毛を防ぎ、健康な被毛を保つためには、日常的なケアが重要です。皮膚の状態や生活環境に合わせた適切な方法でケアを行うことがポイントです。

・皮膚や被毛を清潔に保つ
皮膚病が原因の脱毛は、日々のブラッシングやシャンプーで皮膚や被毛を清潔に保つことで予防できる場合があります。
ただし、シャンプー剤は皮膚や被毛の状態に合ったものを選ぶ必要があります。不適切なシャンプー剤や方法でケアを行うと、逆に皮膚トラブルを引き起こす可能性があるため、獣医師に相談して適切なケア方法を確認してください。

・栄養バランスの取れた食事
皮膚や被毛の健康には、栄養バランスの取れた食事が欠かせません。良質なタンパク質や脂肪酸、ビタミン、ミネラルを含む食事は、健康な被毛を保つ基盤となります。

アレルギーがある場合には、アレルギー対応の食事を取り入れるとよいでしょう。
適切なフード選びについても、獣医師に相談することをおすすめします。

・ストレスの軽減
ストレスが原因で脱毛が起きる場合は環境を見直し、できるだけストレスを軽減してあげることが大切です。ストレス源となるものから遠ざけ、なるべく一緒に過ごす時間を増やして安心感を与える工夫をしましょう。

特に猫の場合はストレスを軽減するために、フェロモン剤やストレス緩和用のサプリメントを活用する方法もあります。
これらのアイテムを使用する際は、必ず獣医師に相談して適切なものを選びましょう。

 

動物病院への相談のタイミング


通常の換毛期以外の時期に抜け毛が増えている場合や、局所的に毛が抜けているとき、脱毛が左右対称に現れているときは注意が必要です。
また、脱毛部分の皮膚が赤くなっている、痒がっている、痛がる様子がある場合や、皮膚以外にも体調に変化が見られる場合も、早めに獣医師に相談してください。

脱毛の原因によって必要な対応や治療は異なりますが、放置すると症状が進行して治りにくくなってしまうことがあります。さらに、愛犬や愛猫にとっても大きな負担となるため、異常を見つけた際には早めに受診することが大切です。

 

まとめ


愛犬や愛猫の脱毛の原因は、皮膚の病気だけでなく、全身性の病気やストレス、さらには食事や生活環境など、さまざまな要因が考えられます。

脱毛を放置すると症状が進行し、治療が困難になることがあります。また、愛犬や愛猫にとっても体の負担が大きくなり、日常生活の快適さを損なう可能性があります。

少しでも異変に気づいた際には、早めに動物病院を受診し、適切な治療やケアを受けることが大切です。

 

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