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犬や猫の黄疸・嘔吐は肝臓の病気かも|早期発見のために知っておきたいこと

2025.04.07
犬の病気猫の病気

肝臓は、体内の老廃物を分解したり栄養を蓄えたりと、生きていくうえで欠かせない大切な臓器です。

ただ、肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれるように、たとえ一部がダメージを受けても残った健康な部分がカバーしてしまうため、目に見える症状が現れにくいという特徴があります。そのため、病気に気づいたときには、すでに進行している場合も少なくありません。

今回は、犬や猫の肝臓疾患について、黄疸や嘔吐といった症状のほか、動物病院で行われる検査や治療法を解説します。

■目次
1.犬や猫の肝臓はどんな働きをしているの?
2.代表的な肝臓疾患と早期発見サイン
3.診断方法
4.治療法
5.おわりに|大切な家族の健康を守るために

 

犬や猫の肝臓はどんな働きをしているの?


肝臓は、犬や猫の体の中でもとても重要な臓器のひとつで、生命を維持するために欠かせない役割をいくつも担っています。

代謝
食べ物から消化・吸収された栄養素を、体が使いやすい形に変えます。

貯蔵
エネルギー源であるブドウ糖を「グリコーゲン」という形に変えて蓄え、必要なときには再びブドウ糖に戻して血液中に送り出します。これにより、体のエネルギーを安定して保つことができます。

解毒・分解
アンモニアや万が一体内に入ってしまったアルコールなどの有害物質、また体内で発生する老廃物を分解し、無害なものに変える働きがあります。

胆汁の生成
脂肪の消化を助ける「胆汁(たんじゅう)」を作り、胆のうに送ります。

凝固因子の生成
出血を止めるために必要な「凝固因子」を作る働きもあります。

肝臓は一部にダメージを受けても、残った健康な部分が代わりに働く性質があります。そのため、かなり進行するまで症状が出にくいのが特徴です。

つまり、症状が現れたときには、すでに肝臓に大きな負担がかかっている可能性があるということ。だからこそ、日常のちょっとした変化にも目を向けることが大切です。

 

代表的な肝臓疾患と早期発見サイン


犬や猫の肝臓疾患は症状が現れにくいため、気づいたときには進行してしまっているケースも少なくありません。
ここでは、犬と猫でよく見られる肝臓の病気と、注意したいサインについてご紹介します。

<犬の肝臓疾患>
犬に見られる代表的な肝臓疾患には、以下のようなものがあります。

肝炎
肝臓の細胞が炎症を起こす病気で、急性肝炎慢性肝炎があります。
急性の場合は強い症状が急に現れることが多く、食欲不振や嘔吐などが見られることも。
一方、慢性肝炎は少しずつ進行するため、気づかないうちに悪化してしまうこともあります。
原因としては、ウイルスや細菌、寄生虫による感染のほか、薬物・中毒・打撲なども考えられます。

肝硬変
長期的な肝臓のダメージにより肝細胞が壊れ、繊維化して硬くなってしまった状態です。
肝不全に進行している重篤な状態で、命に関わることもあります。

門脈体循環シャント
腸から肝臓に向かう血管(門脈)が、本来とは違う大静脈につながってしまう病気です。
この異常な「バイパス」により、有害物質が肝臓で解毒されずに体中を巡ってしまうため、さまざまな症状が引き起こされます。

▼門脈体循環シャントについてはこちら

肝臓の腫瘍
犬にできる肝臓の腫瘍には良性悪性がありますが、犬では悪性腫瘍の方が多いといわれています。腫瘍が大きくなると他の臓器を圧迫したり、全身の状態に影響を与えたりすることもあります。

▼肝臓腫瘍についてはこちら

 

 

<猫の肝臓疾患>
猫の肝臓疾患もさまざまありますが、特に注意が必要なのが次の2つです。

肝炎
犬と同様に細菌やウイルスなどによる肝臓の炎症です。症状が分かりづらく、気づいたときには慢性化していることもあります。

▼肝炎についてはこちら


肝リピドーシス(脂肪肝)

猫特有の病気で、脂肪が肝臓に溜まりすぎて、正常に機能しなくなる状態です。
特に、食欲不振や絶食状態が続いたときに起こりやすく、太っている猫はリスクが高まります
「最近あまり食べていないかも…」というときは、決して様子を見ず、早めに動物病院を受診してください。

肝リピドーシスについてはこちら

 

<肝臓疾患で見られる主なサイン>
肝臓の病気は、初期にはこれといった症状が出にくいのが特徴です。
以下のような変化が見られるときは、すでに病気が進行している可能性があります。

・食欲がない
・体重が減ってきた
・白目や歯ぐき、皮膚が黄色っぽくなる(黄疸)
・嘔吐や下痢が続く

特に太っている猫が食欲をなくしている場合は、肝リピドーシスのリスクが非常に高いため、すぐに受診されることをおすすめします。

▼黄疸についてはこちら

 

診断方法


肝臓の病気は、初期の段階ではほとんど症状が見られないことが多く、健康診断で偶然見つかるケースもよくあります。

まずは血液検査で肝臓の数値(ALT、AST、ALP、GGTなど)に異常がないかを確認します。
数値が高い場合には、さらに詳しい検査として超音波検査(エコー)やレントゲン検査などの画像診断を行い、肝臓の状態や形の変化、腫瘍の有無などを調べます。

必要に応じて、尿検査や便検査、さらには肝生検(肝臓の組織検査)が行われることもあります。

 

治療法


肝臓疾患の治療は、病気の種類や進行度、原因によって異なりますが、以下のような方法がとられます。

内科治療:肝臓の負担を減らす薬の投与(肝保護剤や抗炎症薬など)
点滴治療:脱水や代謝バランスの改善のため
食事療法:肝臓にやさしい成分で構成された療法食を使用(脂肪やタンパク質のバランスが調整されたフードなどが用いられます)

病気の種類によっては長期的な治療が必要になることもあります。また、症状が落ち着いて一見元気に見えても肝臓の状態が完全に回復していないこともあるため、自己判断で治療をやめてしまうのは非常に危険です。

さらに、肝臓の大部分がダメージを受けてしまってからでは治療が難しくなることもあるため、定期的な健康診断での早期発見・早期治療がとても重要です。

 

おわりに|大切な家族の健康を守るために


肝臓疾患は早期に見つけて、適切な治療を行うことができれば、予後(回復の見込み)も大きく変わってきます。

そのためには、定期的な健康診断に加えて日ごろから愛犬・愛猫の様子をよく観察することがとても大切です。
「なんとなく元気がないかも」「食欲が少し落ちている気がする」そんな小さな変化が、病気のサインであることもあります。

少しでも気になることがあれば、どうぞお気軽に当院へご相談ください。
飼い主様のお話を丁寧にうかがいながら、愛犬・愛猫にとって最善のケアをご提案いたします。

 

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