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ご自宅での犬や猫の歯磨きのコツについて|毎日の歯磨きで歯周病予防

2024.08.02
犬の話猫の話

犬や猫は歯周病になりやすいので、日常的なデンタルケアがとても重要です。特に、歯石が形成されるスピードは驚くほど速く、気が付いたときには歯石がびっしりと付いてしまっていることもあります。そのため、定期的な歯のチェックとケアが欠かせません。

さらに、歯周病はお口の中だけの問題にとどまらず、歯周病菌が全身に広がり、命に関わる深刻な病気を引き起こすこともあります。
したがって、若いうちからお家での歯磨きを習慣にすることが大切です。毎日のデンタルケアを通じて、大切な愛犬や愛猫の健康を守りましょう。

今回は、ご自宅での犬や猫の歯磨きについて、よく飼い主様より頂く質問を中心に解説します。

■目次
1.どうして歯磨きが必要なの?
2.歯磨きの頻度はどのくらい?
3.歯磨きはいつから始めるべき?
4.歯磨きのコツは?
5.歯磨きを嫌がる場合はどうすればいい?
6.歯磨き以外のデンタルケア方法は?
7.動物病院での歯石クリーニングとの違いは?

 

どうして歯磨きが必要なの?


犬や猫は歯石が形成されるスピードがとても早い動物です。
歯石とは、食べかすや細菌の塊(歯垢)にカルシウムなどが付着して硬くなったもので、その表面はザラザラしています。そのため、一度歯石が付くとその上にさらに歯石が積み重なり、歯周病菌が増殖しやすい環境ができてしまいます。

歯垢は毎日の歯磨きで取り除くことができますが、歯石になってしまうと、自宅でのケアでは取ることができません。歯石を除去するには、動物病院で全身麻酔をかけて行うスケーリングが必要です。

歯周病になると、ただの口臭だけでなく、歯の痛みから食欲が落ちたり、ストレスが溜まったりすることがあります。
さらに進行すると、歯の根本である歯槽が溶け、顎の骨が骨折しやすくなることもあります。また、歯肉から感染した歯周病菌が全身の臓器に悪影響を及ぼすこともあります。

こうした事態を避けるためにも、日常的な歯磨きで歯石を予防することが非常に重要です。

 

歯磨きの頻度はどのくらい?


人間では歯垢から歯石が形成されるのに約2週間かかるとされていますが、犬や猫ではわずか3〜5日で歯石が形成されます。
そのため、理想的には毎日歯磨きを行うのが望ましいですが、毎日が難しい場合は最低でも3日に1回は歯磨きを行いましょう。

 

歯磨きはいつから始めるべき?


子犬や子猫の時期から歯磨きを始めることをお勧めします。大人になってから急に始めるのではなく、小さいころから習慣化させることが大切です。
歯周病になってから歯磨きを始めようとしても、歯ブラシが歯肉に当たると痛みを感じてしまい、歯磨きを嫌がることがあります。

また、初めから完璧にできるわけではないので、お家にお迎えした日から少しずつトレーニングを始めましょう。
時間をかけてゆっくりと慣れさせることで、愛犬や愛猫が歯磨きを受け入れてくれるようになります。

 

歯磨きのコツは?


犬や猫の歯磨きを成功させるためには、以下のポイントに注意することが大切です。

1,スキンシップを楽しむ
まずは、歯磨きをスキンシップの一環として楽しむことを心がけましょう。飼い主様がリラックスしていると、愛犬や愛猫も安心します。

2,ゆっくり慣れさせる
最初から完璧を目指すのではなく、少しずつ慣れさせることが大切です。まずは歯ブラシを見せて匂いを嗅がせるところから始め、次に歯に当てるだけ、その後、軽く1回擦るなど、段階を踏んで進めていきましょう。

3,正しいポジション
正面から歯ブラシを近づけると怖がることが多いので、後ろから包み込むように抱いて、歯ブラシも後ろから近づけるとスムーズです。

4,歯磨きのタイミング
愛犬や愛猫がリラックスしているときを選びましょう。食後や遊んだ後など、落ち着いたタイミングがベストです。

5,短時間で分けて行う
一度に全部の歯を磨こうとせず、短時間で分けて行うのも効果的です。例えば、朝に前歯、昼に右奥歯、夜に左奥歯を磨くなど、一日の中で少しずつ分けて行うと、負担も少なくなります。

6,褒めることを忘れずに
歯磨きが終わったら、しっかりと褒めてあげましょう。おやつをあげたり、優しく撫でてあげたりすることで、歯磨きが楽しい経験になるようにしましょう。

 

歯磨きを嫌がる場合はどうすればいい?


愛犬や愛猫が歯磨きを嫌がる場合は、無理に続けるのは避けましょう。無理やり磨こうとすると、歯磨き自体を嫌いになってしまうことがあります。毎日のケアを楽しい時間にするためには、いくつかの工夫が必要です。

まず、歯磨きを終えた後にご褒美をあげるのが効果的です。おやつや遊びの時間を設けることで、歯磨きが楽しい経験になるようにしましょう。また、犬や猫が好むフレーバーの付いた歯磨きペーストを使うのも一つの方法です。

さらに、最初は短い時間から始めて、少しずつ慣れさせていくことが大切です。歯ブラシを見せるだけ、歯に軽く触れるだけといったステップを踏みながら、ゆっくりと進めていきましょう。

 

歯磨き以外のデンタルケア方法は?


歯ブラシでの歯磨きが最も効果的ですが、それ以外にもいくつかのデンタルケア方法があります。例えば、表面の歯垢を拭き取る歯磨きフロス指サック型の歯ブラシ歯磨きペースト歯磨きおもちゃおやつなどがあります。

歯磨きフロスや指サック型の歯ブラシは、細かい部分には届きにくいですが、表面の歯垢を取り除くのに役立ちます。歯磨きに慣れるまでの練習や、旅行中などで歯ブラシが使えない場合に使うと良いでしょう。

また、歯磨きおもちゃやおやつは、噛むことで歯垢を取り除く効果があります。歯磨き後のご褒美や日常的なケアとして活用するのがお勧めです。

 

動物病院での歯石クリーニングとの違いは?


動物病院で行う麻酔下での歯石クリーニングは、歯石を除去するだけでなく、歯周ポケット(歯の付け根にある歯肉のポケット)内の歯垢や歯周病菌も取り除くことができます。
自宅での歯磨きでも歯周ポケットのケアは可能ですが、全ての歯を完璧にお手入れするのは難しいため、動物病院で麻酔下での歯石スケーリングの際に、しっかりとしたケアを行うことが重要です。

 

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<参考文献>

Urfer SR, Wang M, Yang M, Lund EM, Lefebvre SL. Risk Factors Associated with Lifespan in Pet Dogs Evaluated in Primary Care Veterinary Hospitals. J Am Anim Hosp Assoc. 2019 May/Jun;55(3):130-137. 

Wallis C, Holcombe LJ. A review of the frequency and impact of periodontal disease in dogs. J Small Anim Pract. 2020 Sep;61(9):529-540. 

 
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