便秘とは、さまざまな理由でうんちが腸の中に留まってしまい、踏ん張らないと出ない状態を指します。
しかし、単にうんちが出ないだけではなく、出ていても形状や排便時の姿勢に異常が見られるだけのケースもあり、飼い主様が便秘に気づかず見過ごしてしまうこともあります。
もし対応が遅れてしまうと、巨大結腸症や脱水などの深刻な状態に発展する危険性もあるため、愛犬に少しでも気になる症状が見られた場合は、早めに対処してあげましょう。
今回は、犬の便秘の症状や原因、そして適切な対処法について詳しくお伝えします。また、便秘を放置するとどのようなリスクがあるのかも解説していきます。
■目次
1.犬の便秘のサイン|これって便秘かも?
2.便秘の原因|どうして愛犬が便秘に?
3.便秘の危険性|放置すると何が起こる?
4.家庭でできるケア|愛犬の便秘を解消するには?
5.動物病院での診断と治療|獣医師による治療が必要なケース
6.予防法やご家庭での注意点
7.まとめ|愛犬の便秘は早期発見と対応が鍵!
犬の便秘では、以下のようなサインが見られることがあります。
・うんちが全く出ない
・うんちの量が少ない
・排便の回数が減っている
・うんちが乾燥していて、硬く、コロコロした形状になっている
・排便時に長い時間踏ん張っている
・お腹が張っている
これ以外にも便秘の原因によっては、元気をなくしたり、食欲が低下したりすることもあります。さらに、吐いてしまうこともあるため、これらの症状にも注意してあげましょう。
<水分不足や食事内容によるもの>
水分不足は便秘の原因になります。
特に冬場は寒さの影響で動きが少なくなりがちで、自然と水分摂取が減ってしまうことがあります。そのため、こまめに水を取り替えて新鮮な状態を保つことや、室内を暖かくする工夫が大切です。
また、飲み水に少量のスープやヨーグルトを混ぜて、愛犬が進んで水分を摂れるようにしてあげるとよいでしょう。
食事の内容も排便に大きく影響します。
食物繊維が不足すると便秘の原因になりますが、実は摂りすぎると逆に便秘を引き起こすこともあるので、バランスが重要です。
さらに、突然フードを変えたり、おやつを多く与えすぎたりすると、栄養バランスが崩れ、便秘につながることがあります。
<運動不足>
運動が足りないと消化管の動きが鈍くなり、便秘になってしまうことがあります。毎日の適度な運動は、健康的な消化を促進するためにも重要ですので、愛犬が楽しんで動けるような時間を作ってあげましょう。
<病気によるもの>
以下のような病気が、便秘を引き起こすことがあります(括弧内は便秘以外に見られる症状です)。
・異物誤飲(嘔吐、下痢、食欲不振)
誤飲誤食についてはこちらで解説しています
・腸閉塞(嘔吐、食欲不振、不完全閉塞の場合は、うんちが出たり出なかったりします)
腸閉塞についてはこちらで解説しています
・会陰ヘルニア(肛門の周りが膨らむ、さらに尿が出にくくなることもあります)
会陰ヘルニアについてはこちらで解説しています
・前立腺肥大(血尿、頻尿、排尿困難など)
前立腺肥大についてはこちらで解説しています
・腹腔内の腫瘍(お腹にしこりが感じられることもあります)
腹腔内の腫瘍についてはこちらで解説しています
・巨大結腸症
巨大結腸症についてはこちらで解説しています
特に、会陰ヘルニアや前立腺肥大は、去勢手術をしていないオス犬に多く見られます。これら以外にも、体力の衰えや脱水が起こることで便秘が引き起こされる場合もあります。
<薬の副作用>
お薬を使用している場合、その副作用として便秘が現れることがあります。特に、長期的な投薬や強いお薬を使用している場合には、体に負担がかかることがあるため、注意が必要です。
<ストレス>
犬も私たちと同じように、環境の変化や心理的なストレスを感じることがあります。自律神経の乱れや、腸内の働きが変わってしまうことで、便秘を引き起こすことも少なくありません。
たとえば、引っ越しや新しい家族が加わる、生活リズムの変化などが、犬にとっては大きなストレスとなることもあります。
便秘をそのまま放置してしまうと腸内に便が溜まり続け、腸が伸びてしまう「巨大結腸症」になることがあります。こうなると便を送り出す力が弱まり、さらに便秘が悪化してしまいます。
この症状は猫ではよく見られるものですが、犬では比較的まれです。
また、便が長期間出ない状態が続くと、消化管全体の動きが鈍くなり、においの強いゲップや吐き気、さらには嘔吐が見られることもあります。
愛犬に便秘の症状が見られても、元気で食欲がしっかりある場合は、次のような家庭でのケアを試してみてもよいでしょう。
ただし、便秘が改善しなかったり症状が悪化したたり、他の気になる症状が出てきた場合は、早めに動物病院を受診してください。
<水分を摂らせる>
水分をしっかり摂ることで、便がやわらかくなることがあります。水をあまり飲まない愛犬には、フードをウェットフードに変えたり、ドライフードをお湯でふやかしたりして、食事から水分を補うとよいでしょう。また、少量のヨーグルトを飲み水に混ぜてあげるのもおすすめです。
<食事を見直す>
もしフードを変更したタイミングで便秘が始まった場合は、元のフードに戻して様子を見てみましょう。
また、おやつの量が多く、総合栄養食をあまり食べていない場合は、総合栄養食を中心としたバランスの取れた食事に見直すことが大切です。
<適度な運動>
運動をすることで、腸の動きが促進されるだけでなく、ストレスの軽減にもつながります。無理なく楽しめる運動を取り入れてあげましょう。
元気で食欲があるように見えても、以下の症状が見られた場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
・便秘が3日以上続いている
・食べているのに、硬い便が少ししか出ない
・排便時に痛がっている
・吐いている
・お腹が張っている
・便秘の症状を繰り返している
・ご飯を食べなくなった
・元気がない
動物病院では、便秘が長引く場合まずは病気が原因でないかを疑い、身体検査のほか、超音波検査やレントゲン検査、血液検査などを行います。
軽度の便秘であれば、下剤などを使って内科治療を行いますが、便が大腸に詰まっている場合には、浣腸を使って排便を促すこともあります。まれに、自力での排便が困難な場合には外科手術が必要になることもあります。
また、便秘が病気によるものと診断された場合は、その治療を優先して行います。
便秘の予防には、私たちと同じく、バランスの取れた食事と適度な運動が大切です。日頃から、愛犬のうんちの状態や回数、排便時の様子をしっかり観察し、少しでもいつもと違うと感じたら、早めに対処してあげることが重要です。
また、定期的な健康診断を受けることで、病気の早期発見や健康状態の把握にもつながります。元気な毎日を過ごしてもらうために、日常のケアと定期的なチェックを欠かさず行っていきましょう。
毎日の健康的な排便は、愛犬の健康を示す大切なサインです。うんちがいつもより硬くなったり、量が少なくなったりするのは便秘の兆候かもしれません。便秘は人間にもよくあるトラブルなので、愛犬が元気そうだとつい様子を見てしまう飼い主様もいらっしゃるかもしれませんが、油断は禁物です。
便秘を放置すると、巨大結腸症のような深刻な病気を引き起こし、治療が難しくなることもあります。「たかが便秘」と思わず、少しでも異変に気づいたら、早めに動物病院にご相談しましょう。
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