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犬や猫の足が地面につかない、触られると嫌がる|考えられる疾患と対応は?

2024.08.09
犬の病気猫の病気

ふと気づいたら、愛犬や愛猫が3本足で立っていることはありませんか?その上げている足に触ろうとすると嫌がり、「病気なのでは?」と心配になることもあるでしょう。

犬や猫が足を地面につけない、またはつけていても体重をかけない、触られるのを嫌がる場合、考えられる原因はいくつかあります。例えば、足が痛くて体重をかけたくない、関節が不安定になっている、または力が抜けているなどです。

今回は犬や猫の足が地面につかないときに考えられる疾患と、対応について解説します。

■目次
1.考えられる疾患
2.応急処置と対処法
3.予防法やご家庭での注意点
4.まとめ

 

考えられる疾患


<整形外科の疾患>

犬や猫も人間と同じように、骨折や脱臼、靭帯の損傷や断裂、関節炎などが原因で足に痛みが出ることがあります。その結果、足を地面につけられない、触られるのを嫌がるなどの様子が見られます。
これらの疾患があると、患部が腫れたり、熱を持ったりすることがよくあります。

犬や猫で代表的な整形外科の疾患には、以下のものがあります。

橈尺骨骨折小型犬に多く、前足に症状が出ます。
 橈尺骨骨折についてはこちら

膝蓋骨脱臼小型犬に多く、後ろ足に症状が出ます。
 膝蓋骨脱臼についてはこちら

股関節脱臼大型犬に多く、後ろ足に症状が出ます。
 股関節脱臼についてはこちら

前十字靭帯断裂高齢犬に多く、後ろ足に症状が出ます。
 前十字靭帯断裂についてはこちら

変形性関節症中高齢の大型犬に多く、どの足でも起こります。
 変形性関節症についてはこちら

骨軟骨異形成症スコティッシュフォールドに多く、どの足でも起こり得ます。

特に変形性関節症は、加齢だけでなく、膝蓋骨脱臼、股関節脱臼、前十字靭帯断裂、骨軟骨異形成症に加え、大型犬に多い股関節形成不全や、小型犬に見られるレッグ・カルベ・ペルテス症なども原因となります。

 

<神経系の疾患>

神経の異常が原因で足に力を入れられなくなると、足を地面につけることが難しくなります。この場合、痛みというよりも力が抜けた感じになります。

椎間板ヘルニアの場合、足に触っても嫌がりませんが、ヘルニアを起こしている背骨の部分に触ると痛がることがあります。

椎間板ヘルニアについてはこちらで解説しています

 

<その他>

指間湿疹や怪我が原因で地面に足をつけられなくなることがあります。
また、指の間に植物の種などが挟まっていることもあります。
さらに、骨肉腫などの腫瘍が原因で同様の症状が現れることもあります。

指間湿疹(趾間嚢胞)についてはこちらで解説しています

 

応急処置と対処法


愛犬や愛猫が足を地面につけなかったり、触ると嫌がったりする場合は、無理に触ったり歩かせたりせず、まずは安静にさせましょう。そして、できるだけ早く動物病院に連れて行ってください
症状が出ているということは何かしらの異常がある証拠ですので、無理に歩かせるとさらに悪化する可能性があります。

飼い主様が歩かせようとしなくても、犬や猫自身が無理をして歩こうとすることがありますが、動物病院に到着するまでは、ケージに入れるか抱っこして連れて行ってください。抱っこする際は、腰に負担がかからないように、背骨が地面と平行になるように横向きに抱えてあげてください。

また、「痛そうだから」といって自己判断でお薬を飲ませるのは避けてください
人間と犬猫は別の動物ですので、人間用の薬が犬や猫にとっては毒になることがあります。
特に、人間用の鎮痛薬に含まれるアセトアミノフェンは、犬や猫に重大な中毒を引き起こしますので、絶対に与えないでください。

ご家庭で痛みを和らげる方法としては、患部を冷やすことが効果的です。
もし患部が熱を持っている場合は、タオルで包んだ保冷剤などで冷やしてあげてください。

 

予防法やご家庭での注意点


小型犬や高齢犬の場合、小さな段差からのジャンプでも怪我をすることがあるため、段差にはスロープを設置し、抱っこから下ろすときは4本の足がすべて地面についてからそっと下ろすようにしましょう。
また、床で滑って脱臼することもあるため、カーペットを敷くなど、滑りにくい床にする工夫も大切です。

猫の場合、外での怪我や事故による骨折や脱臼が多いです。室内で飼育することを徹底し、脱走しないように気をつけることが重要です。

また、定期的な健康診断も非常に大切です。
紹介した病気の中には、足がつかなくなってからでは治療が難しいケースもありますが、早期に発見して適切に対応すれば、症状をコントロールできる場合があります。

さらに、太っていると足や腰にかかる負担が大きくなりますので、適切な運動と食事管理で肥満を予防しましょう。若い時期に運動をしていた犬や猫は、高齢になっても足腰が丈夫なことが多いので、若いうちから運動や食事の管理をしっかり行いましょう。

 

まとめ


犬や猫の足が地面につかなくなる、触ると嫌がる原因にはさまざまな疾患が考えられます。こうした病気を放っておくと、他のトラブルを引き起こし、どんどん悪化して治療が難しくなることがありますので、早い段階での治療が重要です。

普段から愛犬や愛猫の様子をよく観察し、少しでもおかしいなと思ったら、できるだけ早く獣医師に相談してください。
そして、定期的な健康診断もおすすめです。健康診断を受けることで、病気のサインを早めに見つけて対処することができます。

 

■関連する記事はこちらで解説しています
股関節形成不全
レッグ・カルベ・ペルテス病

 

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