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犬のふらつきの原因とは?|椎間板ヘルニアや心臓病の可能性も

2025.01.10
犬の病気

愛犬の歩き方がふらふらしていたり、うまく立てていなかったりすると、「どこか具合が悪いのでは…」と心配になりますよね。

犬のふらつきの症状には、いくつかの原因が考えられます。
その中でも特に注意が必要なのは、脳や神経に関する病気、心臓の疾患、さらには貧血などが関わっている場合です。

こうした症状は放置すると悪化する可能性もあるため、どのような病気であれ、早めに原因を見つけて適切に対応することが大切です。

今回は、犬のふらつきについて、考えられる原因や症状の特徴、さらには緊急性を判断するポイントを中心に解説します。

■目次
1.ふらつきとはどんな症状?
2.犬がふらつく主な原因|考えられる病気と特徴
3.緊急性の判断基準|愛犬のふらつきが見られたら
4.自宅でできるケアと予防法
5.おわりに

 

ふらつきとはどんな症状?


ふらつきとは、バランスがうまく取れない、または体に十分な力が入らないことで、歩き方や立ち方が不安定になる状態を指します。
愛犬の様子をよく観察すると、以下のような症状が見られることがあります。

・よろよろと歩く
・まっすぐ歩けず、ふらふらと動く
・円を描くように歩く
・立とうとすると体が傾いてしまう
・立ってもすぐに座り込む、または寝ころがる
・長い時間立っていられない

これらの症状は原因によって現れ方が異なるため、注意が必要です。
例えば、椎間板ヘルニアなど脊髄(背骨を通る太い神経)の病気や筋骨格系の病気が原因の場合、腰から後ろ足にかけてふらつくことが多く見られます。

また、全身の力が抜けたようにふらつく、突然倒れ込んでしまう場合は、脳に関わる病気や貧血、心臓病が関係している可能性もあります。

 

犬がふらつく主な原因|考えられる病気と特徴


犬にふらつきが見られる場合、その原因はさまざまです。ここでは、代表的な原因とそれぞれの特徴について詳しく説明します。

<椎間板ヘルニア>
椎間板ヘルニアは、背骨と背骨の間にある軟骨「椎間板」が変性して脊髄を圧迫する病気です。特にミニチュア・ダックスフンドやチワワに多いことが知られています。

脊髄は脳からの指令を全身に送る重要な神経で、圧迫された部位によって左右対称の麻痺が起こります。
症状の程度は軽い震えや力の弱まりから、完全な麻痺や痛みを感じなくなる重症までさまざまです。

・胸腰部の椎間板ヘルニア: 後ろ足に左右対称の麻痺やふらつきが見られる。
・頚部の椎間板ヘルニア: 前足や四肢に影響を及ぼすことがある。

椎間板ヘルニアについてはこちらから

犬の骨格図における椎間板ヘルニアの位置を示す図。頸部椎間板ヘルニアと胸腰部椎間板ヘルニアの箇所が色付きで分かりやすく示されている。

 

<脳の病気>
脳炎、脳腫瘍、てんかんなどの脳の病気もふらつきの原因となります。これらの病気では、ふらつきに加えて以下のような症状が現れることがあります。

・麻痺やけいれん
・斜頸(首を傾げた状態が続く)
・眼振(眼球が小刻みに揺れる)
・視覚障害、聴覚障害、運動障害

脳炎についてはこちらから

脳腫瘍についてはこちらから

てんかんについてはこちらから

 

<前庭疾患>
前庭疾患は、平衡感覚を司る「前庭」に異常が起こる病気です。犬では高齢になると何の前触れもなく突然発症することがあります。
また、前庭は内耳にあるため、内耳炎が原因となる場合もあります。

内耳炎についてはこちらから

 

前庭疾患ではふらつき以外にも、以下のような症状が現れることがあります。

・眼振
・円を描くように歩く
・転倒

前庭疾患についてはこちらから

 

<貧血>
貧血は、全身が酸欠状態になることで体に力が入らなくなり、ふらつきや失神を引き起こす状態です。
その原因としては、慢性腎臓病や自己免疫疾患、中毒、さらには突然の出血などが挙げられます。

腎臓病についてはこちらから

自己免疫性疾患についてはこちらから

中毒についてはこちらから

 

また、歯茎や粘膜の色が変化し、通常は健康的なピンク色が貧血の場合には青白っぽくなることがあります。

貧血についてはこちらから

 

<心臓病>
心臓病の中でも、中高齢の小型犬に多い僧帽弁閉鎖不全症は注意が必要です。
この病気では、心臓の僧帽弁という仕切りがうまく閉じなくなるため、血液の一部が逆流してしまいます。その結果、ふらつきや失神といった症状が現れることがあります。

特にこれらの症状は、運動後や興奮時に起こりやすいのが特徴です。また、咳を伴うケースも少なくありません。

僧帽弁閉鎖不全症についてはこちらから

 

<老化>
加齢による筋力の衰えも、ふらつきの大きな要因です。老犬では、背骨の変形や関節炎を伴うことが多く、立ち上がりや歩行が難しくなる場合があります。

高齢化のサインはこちらから

 

<運動器の障害>
前足や後ろ足の関節炎、外傷、股関節の病気など、運動器に関わる障害もふらつきの原因となります。
特に痛みを伴う場合、以下のような症状が見られることがあります。

・問題のある足に体重をかけられない
・痛みのある部位に触ると嫌がる

変形性関節症についてはこちらから

股関節脱臼についてはこちらから

 

緊急性の判断基準|愛犬のふらつきが見られたら


愛犬にふらつきが見られた場合は、できるだけ早めに動物病院を受診することをおすすめします。特に以下の症状がある場合は、緊急性が高い可能性があります。

後ろ足を引きずる
痛がる様子がある
急に症状が悪化した
元気や食欲がない
ぐったりしている
呼吸が荒い

 

<特に注意が必要なケース>
椎間板ヘルニア:後ろ足が完全に麻痺している場合、早急に外科治療を受けなければ生涯歩けなくなる可能性があります。
後ろ足を引きずる、または背中に触ると痛がる場合は迷わず動物病院へ連れて行きましょう。

全身の状態が悪い場合:元気や食欲の低下、ぐったりしている、呼吸が荒いといった症状が見られる場合は、命の危険が伴うことがあります。

 

<夜間や連休中の場合>
かかりつけの動物病院が休診の際は、夜間救急や休日診療を行っている動物病院を探して早急に受診しましょう。深夜の場合でも、翌日の午前中には必ず診察を受けるようにしてください。

 

自宅でできるケアと予防法


愛犬にふらつきが見られる場合は、まず動物病院で原因を調べ、適切な治療を受けることが大切です。治療によって改善が見込める場合もあれば、完治が難しい場合もあります。
そのため、自宅の飼育環境を整えることが、愛犬と飼い主様の快適な生活につながる大切なポイントとなります。

以下の対策を取り入れて、安全で過ごしやすい環境を作りましょう。

床を滑りにくい素材に変更:フローリングにはカーペットやマットを敷いて滑りにくくしましょう。

段差対策:階段やソファの段差にはスロープを設置するのがおすすめです。

家具や壁の角を保護:クッション材をつけることで安全性を高められます。

食器の高さを調整:食べにくそうな場合は、食器を台に乗せて高さを調整すると食べやすくなります。

これらの対策は、高齢犬にも非常に有効です。

 

おわりに


ふらつきの原因には、早めに治療をしないと後遺症が残る病気や、貧血や心臓病など命に関わる病気が含まれることがあります。
愛犬にふらつきが見られたら、できるだけ早く動物病院を受診し、原因に応じた適切な治療を行いましょう。

動物の病気は、症状が現れたときにはすでに進行していることが多いものです。そのため、かかりつけの獣医師を持ち、定期的に予防や健康診断を受けることが大切です。
元気なうちから健康診断を受けておけば、病気の早期発見につながるだけでなく、いざというときに愛犬のことをよく知る獣医師がいることで、飼い主様にとっても大きな安心となるでしょう。

また、椎間板ヘルニアなどの神経系の病気を診断するには、CTやMRIといった高度な画像診断機器が必要な場合があります。CTやMRI検査をご希望の場合は、まずは一度当院までご相談ください。

 

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