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犬の陰嚢ヘルニアについて|愛犬の陰嚢が腫れている?

2024.07.26
犬の病気

陰嚢(いんのう)ヘルニアとは、精巣を収める陰嚢の組織が弱くなり、脂肪や内臓が入り込む病気です。
犬では珍しい病気ですが、放っておくと組織の弱い部分がさらに広がり、膀胱や腸まで入り込む可能性があるため、早期の対応が重要です。
治療方法としては、手術で入り込んだ臓器や脂肪を本来の場所に戻し、弱くなった部分を補強することが必要です。

今回は犬の陰嚢ヘルニアについて、原因、症状、診断や治療について紹介します。



■目次
1.原因|陰嚢の中に内臓や脂肪が入り込む
2.症状|陰嚢が大きくなる、尿や便が出にくくなる、元気がない
3.診断|身体検査と超音波検査
4.治療|外科手術で内臓や脂肪を戻して弱くなった組織を補強する
5.予防|普段のスキンシップで早期発見を

 

原因|陰嚢の中に内臓や脂肪が入り込む


犬の精巣は生まれたときにはお腹の中にあり、成長するにつれて鼠径輪(内腿の付け根あたり)を通って陰嚢に移動します。
陰嚢は股にぶら下がる精巣を収める袋で、精巣に血液を供給する血管や精巣で作られた精子を運ぶ精管が通っています。この鼠径輪の組織が弱くなると、本来はお腹の中にある内臓や脂肪が陰嚢に入り込み、陰嚢ヘルニアの状態に陥ります。

犬では比較的珍しい病気ですが、特に子犬の時期に見つかった場合は遺伝性の可能性があります。

 

症状|陰嚢が大きくなる、尿や便が出にくくなる、元気がない


陰嚢ヘルニアになると陰嚢が通常より大きくなるため、普段のスキンシップの中で異変に気づく飼い主様もいらっしゃいます。

症状は入り込んだ臓器によって異なります。例えば、膀胱が入り込むと尿が出にくくなり、腸が入り込むと便が出にくくなります。
尿や便が出ない状態が続くと、腎不全や腸閉塞などの重大な健康問題に発展する可能性があり、非常に危険です。

さらに、陰嚢ヘルニアによって痛みが生じることもあり、その結果、愛犬の元気がなくなってしまうこともあります。

 

診断|身体検査と超音波検査


身体検査で状態を確認し、さらに超音波検査によって陰嚢内に脂肪や内臓が入り込んでいないかを詳しく調べます。

 

治療|外科手術で内臓や脂肪を戻して弱くなった組織を補強する


陰嚢ヘルニアの治療には、外科手術が必要です。手術では、陰嚢内に入り込んだ内臓や脂肪を元の位置に戻し、再び入り込まないように弱くなった部分を縫って補強します。

また、まだ去勢手術をしていない場合は、同時に去勢手術を行うことが一般的です。去勢手術は、今後の健康リスクを減らし、陰嚢ヘルニアの再発予防にもつながります。

 

予防|普段のスキンシップで早期発見を


陰嚢ヘルニアは犬では珍しい病気ですが日々のスキンシップの中で比較的見つけやすい病気の1つです。
治療をせずに様子を見ている間に組織の弱い部分が大きくなり、膀胱や腸が入り込んでしまうこともあります。こうした事態を避けるためにも、異常を感じたら早めに動物病院で受診し、適切な治療を受けることが重要です。

 

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