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犬と猫の眼瞼内反症について|まつ毛やまぶたの毛が目に当たり炎症や感染などを起こす病気

2024.02.16
犬の病気猫の病気

眼瞼内反症はまぶたが内側に反転して、まつ毛やまぶたの毛が目に当たり、角膜や結膜の炎症や感染などを起こす病気で、主に下まぶたでの発生が見られます。
犬でも猫でも見られますが、特に犬は遺伝的に発生の多い品種があるとされています。

今回は犬と猫の眼瞼内反症について、症状や治療方法、予防方法などを詳しく解説します。

■目次
1.原因|遺伝性から怪我の後遺症までさまざま
2.症状|涙が出る、目が痛そう、目を閉じられない
3.診断|視診と身体検査。他の目の病気を併発していないかも確認する
4.治療|根本的な治療は外科手術での矯正
5.予防|普段から目の様子には注意して

 

原因|遺伝性から怪我の後遺症までさまざま


先天性と後天性があります。
先天性は遺伝的な要因によるもので、以下のような犬種や猫種で見られます。短頭種など目の周りの皮膚にたるみがある犬種や猫種は注意が必要です。

【犬】
・ラブラドール・レトリーバー
・アメリカン・コッカー・スパニエル
・秋田犬
・パグ
・シーズー
・ペキニーズ
・ブルドッグ

【猫】
・スコティッシュ・フォールド
・ヒマラヤン
・ペルシャ

後天性は、怪我の治癒後にまぶたの形が変化してしまったことや、角膜や結膜などの病気による痛みでけいれんが続くこと、高齢になって眼球が落ち込んだことなどが原因で起こると言われています。

 

症状|涙が出る、目が痛そう、目を閉じられない


目の表面にまつ毛や内反しているまぶたの毛が当たるため、角膜に傷がつき、角膜潰瘍や角膜炎、結膜炎などを起こします
最悪の場合、角膜に穴が開く「角膜穿孔」を起こして失明してしまう危険性もあります

症状としては、痛みから涙が出たり、目を痛そうにしょぼつかせたり、まぶたをピクピクさせたり、充血したり、目を閉じられなかったりします。
なお、先天性の場合は子犬や子猫の時期に発症します。

 

診断|視診と身体検査。他の目の病気を併発していないかも確認する


眼瞼内反症自体は、身体検査でまぶたが目の内側に入り込んでいることを確認することで診断できますが、角膜や結膜などに炎症や傷がある場合は、以下のような眼検査を行い、合併症がないかを注意深く確認します。

フルオレセイン検査
角膜に傷がないかどうかを確認する検査で、点眼投与で局所麻酔をしてから、蛍光色素をしみ込ませたフルオレセイン試験紙を眼球に当てて、色素を眼球全体に行きわたらせます。 角膜表面に傷があると、その部分が染色されます。 

シルマー涙試験
涙の量を測る検査です。下のまぶたにろ紙を挟み、1分間で濡れる長さで涙の量を測ります。

スリットランプ試験(細隙灯顕微鏡検査)
スリット光という細い光で眼球の各部を照らし、それを顕微鏡で拡大して観察します。光を目に当てることによって眼球の細かい傷、濁りなどの炎症を見つけ出す検査です。 

細胞診
目やにや、結膜の細胞を顕微鏡で観察して細菌感染や炎症の有無を確認する検査です。

また、根本解決のためには外科手術が必要になるため、手術前にレントゲン検査や血液検査を含めた検査で全身の状態を確認します。

 

治療|根本的な治療は外科手術での矯正


眼瞼内反症を根本的に解決するには、内反しているまぶたを正常な位置に戻し、余分なまぶたを部分的に切り取る手術を行う必要がありますが、角膜潰瘍や結膜炎などを起こしている場合は、点眼薬や眼軟膏で治療を行います。

また、子犬や子猫など手術をするには幼すぎる場合は、手術が可能な月齢になるまで、点眼薬や眼軟膏などで眼球への刺激を弱める治療をして経過を追っていきます。

 

予防|普段から目の様子には注意して


先天性のものも多いため予防は難しく、治療が遅れると失明してしまう危険性もあるため、早期発見・早期治療が何よりも大切です。
涙や目の痛みなど、比較的気付きやすい症状が見られますので、異常がある場合はお早めに来院してください。

 

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<参考文献>

Read RA, Broun HC. Entropion correction in dogs and cats using a combination Hotz-Celsus and lateral eyelid wedge resection: results in 311 eyes. Vet Ophthalmol. 2007 Jan-Feb;10(1):6-11. 

Carrozza R, Lenihan E, Hamzianpour N, Linn-Pearl R, Heinrich C, Walsh K, Grundon RA. Lower lid entropion in dogs: A modified technique of the combined Hotz-Celsus and wedge resection procedure. Vet Rec. 2022 Jun;190(11):e1383.

 
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