ホルネル症候群は、目とそのまわりの交感神経の障害によって起こる病気です。
黒目が小さくなったり、瞬膜というピンク色の膜が目の内側から出てきたり、まぶたが垂れてしょぼついた顔になったりします。
多くは片側のみで起こり、犬や猫の顔つきが急に変わるため、驚く飼い主さんも多いでしょう。
犬や猫のホルネル症候群は脳や脊髄の病気だけでなく、外耳炎や不適切な耳掃除が原因になることもあるため、覚えておきましょう。
ホルネル症候群は、交感神経の障害が起きている部位によって、中枢性、節前性、節後性に分けられます。
中枢性は、脳や脊髄の腫瘍、脳炎などの炎症、脳や脊髄の外傷などが原因で起こるとされています。
また節前性は、縦隔や脊髄の腫瘍、胸椎の障害、脇にある腕神経叢根の引き抜き障害などが原因となります。
さらに節後性は、外耳炎や中耳炎、内耳炎などといった耳の病気や、耳掃除の際の外傷が原因になることもあります。
ほか、感染症や、散歩時にリードが絡まって神経が傷つくことで発症することもあるようです。
このように、ホルネル症候群の原因になる病気は多くありますが、犬や猫では原因不明の特発性が多いとされています。
ホルネル症候群のほとんどは片側のみに現れます。
黒目(瞳孔)が縮む、まぶたが垂れ下がる、目頭の方にピンク色の瞬膜が大きく出ている、目がひっこんでいるなどの症状が見られ、片側の目だけしょぼついた雰囲気になるのが特徴です。
ホルネル症候群自体はその特徴的な症状から診断することができますが、その原因を探ったり、他の病気を除外したりするために、目の検査や神経学的検査などを行います。
場合によっては、脳に異常がないかを確認するためにMRIやCT、脳脊髄液検査など、脳の精密検査を要することもあります。
原因がわかった場合は原因に対する治療を行い、原因が取り除ければ症状が改善されることもあります。
特発性の場合は、ほとんどが4ヶ月ほどで自然治癒します。
特発性が多いため予防は難しいものの、耳の病気から波及する場合もあるため、耳を清潔に保つことは予防につながるでしょう。
ただし、不適切な耳掃除が原因となる場合もあるため、耳のケアは動物病院で受けるのが理想的です。
また、散歩時にはリードに絡まって怪我をしないよう、注意してあげてください。
ホルネル症候群には、早期発見が難しい脳神経系の病気が原因になっていることもあるので、異常が見られたらなるべく早めに受診すると良いでしょう。
光が丘動物病院グループ
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<参考文献>
Danielle M Zwueste, Bruce H Grahn. A review of Horner’s syndrome in small animals. Can Vet J. 2019 Jan;60(1):81-88.
Katherine M Simpson, David L Williams, Giunio B Cherubini. Neuropharmacological lesion localization in idiopathic Horner’s syndrome in Golden Retrievers and dogs of other breeds. Vet Ophthalmol. 2015 Jan;18(1):1-5.