不正咬合とは歯が伸びすぎて噛み合わせが悪くなった状態のことで、ウサギに非常に多い歯のトラブルです。
ウサギは生きている間ずっと歯が伸び続ける動物です。
通常は牧草などの餌を奥歯ですり潰すときに歯が削れるため、伸びすぎることはありません。
しかし、うまく歯が削られないと歯が伸びすぎて、不正咬合になります。
一度なると再発しがちで、生涯ケアが必要になることも多い病気です。
不正咬合の原因は、遺伝的なものから食事内容、飼育環境、異常な咀嚼(そしゃく)癖、事故や病気、感染などさまざまです。
特にペレットや野菜チップなどを中心とした食事では、食べたものを奥歯ですり潰す機会が減るため、不正咬合になりやすくなると言われています。
多くのケースでは、食べる量が減る、食べ物を口からこぼすなどうまく食べられない、噛んでいるときの動きがおかしい、歯ぎしりをするといった変化が見られます。
伸びた歯は、前歯であれば飼い主さんが家で確認することができますが、口の中にある奥歯を見ることは難しいでしょう。
伸びた奥歯が頬の内側に刺さると出血が見られたり、痛みからよだれが出たりすることもあります。
さらに、傷口から感染が起こると膿が溜まって目の周りや頬が腫れ、涙が出ることも。
痛みが激しいとよだれが多くなり、このよだれが原因で顎や前足に湿疹ができて脱毛することもあります。
食欲が落ちるため体重が減り、元気がなくなってしまうケースも少なくありません。
診察では顎の運動の検査をして、耳鏡などで口の中を確認します。
外側の腫れなどは触診と視診で確認し、レントゲン検査で顎の骨も含めて状態を見ることもあります。
麻酔をかけて歯を短く削り、表面を整えます。
感染を起こしている場合は抗菌剤や抗炎症剤などで治療します。
治療後は牧草や葉野菜など、歯全体を使って咀嚼する必要のある食事内容に変更するなど、再発を防止します。
残念ながら一度不正咬合になったウサギでは予防しても再発することが多いため、定期的に受診して、悪化する前に歯を削る必要が多々あります。
不正咬合の予防法は「よく噛む」ことです。
ペレットや野菜チップ中心の食事ではなく、牧草や茎野菜など、歯全体を使って食べるものを多く与えるようにしましょう。
牧草をなかなか食べないウサギもいますが、いろいろな種類があるので試してみると良いでしょう。
また、歯の状態は家で確認することが難しく、気づかないうちに悪化していることが多くあります。
定期的に受診して歯のケアをしてあげると良いでしょう。
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<参考文献>
霍野晋吉. 歯牙疾患. In: ウサギの医学. 2018. 緑書房.