一緒に暮らしている犬や猫には、できるだけ長く元気に過ごしてもらいたい。その願いを叶えるためには、万病の元でもある肥満の対策はとても重要です。
今回は、犬と猫の肥満対策について、食事と運動に分けてポイントをご紹介します。
■目次
1.肥満とは|なぜ肥満になるのか
2.食事の管理|重要なのは飼い主様の強い気持ち。家族で足並みを揃えて!
3.運動の管理|長期的な肥満対策に運動は不可欠!
4.まとめ|若いうちの肥満対策が将来のためになる
本題である肥満対策のお話をする前に、どの状態が肥満で、どうして肥満になるのかを説明します。
肥満とは体脂肪が蓄積しすぎた状態で、犬や猫では「ボディ・コンディション・スコア(BCS)」により脂肪のつき具合が評価できます。
診察などで獣医師に判断してもらうのが確実ですが、評価のポイントさえわかれば、飼い主様がおおまかに判断することも可能です。
肥満になる原因は、摂取カロリーが消費カロリーを上回り、余分なカロリーが脂肪に置き換わって体に蓄積されるからです。
犬や猫の場合、ほとんどはオヤツの与えすぎと運動不足が原因です。
避妊手術後や去勢手術後、代謝の下がる中高齢の時期では太りやすくなるため、特に注意が必要でしょう。
ただし、こうした背景がみられずに肥満になってしまう場合は、甲状腺機能低下症などの病気を疑うこともあります。
犬や猫の肥満対策で一番重要なのは食事管理です。
摂取カロリーを抑えるために食事量を減らす、減量用のフードに切り替える、オヤツを与えない、などを実践しましょう。
フードを与える量は、現在の体重ではなく、目標体重に設定してください。
人間と同じく個体差があるため、同じ量を食べても太ってしまう子もいます。定期的にBCSを確認し、フードの量が合っているかを確かめましょう。
減量する場合は、目安として1週間で体重の1〜1.5%を減らすのが適切です。
すぐに大幅に痩せさせるのではなく、ゆっくり減らすことを考えてください。
自分で食事を用意することができない犬や猫の食事管理は、飼い主様の強い気持ちが重要です。また、家族で足並みが揃っていないとうまくいきません。一人が頑張って食事管理をしていても、誰かが隠れてオヤツを与えている場合があります。
ぜひご家族で話し合って、足並みを揃えてください。
運動による肥満対策は、すぐには効果が出ませんが、消費カロリーを増やすだけでなく、筋肉量を増やすことで基礎代謝が上がるため、元気に長く過ごすにはとても重要です。
犬の場合は、散歩の時間を増やす、散歩コースに坂道を入れて負荷をかけるなどの方法があります。猫は積極的におもちゃで遊ぶと良いでしょう。
ただし、肥満の犬や猫にいきなり運動をさせると、関節や腱を痛めてしまいます。
徐々に運動量を増やすようにしましょう。
若いうちの肥満対策は将来の健康を左右する重要な要素です。
歳をとると代謝が下がり、なかなか痩せにくくなるため、若く健康なうちから適切な食事と運動で、長く元気に過ごせるようにしましょう!
光が丘動物病院グループ
東京都練馬区に本院を置き、東京都内、埼玉県で4つの動物病院を運営しています
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