仙腸関節は、骨盤の一部である腸骨と、背骨の一部である仙骨をつなぐ関節で、後ろ足を支えています。
仙腸関節脱臼が起こると、後ろ足を引きずる、歩けない、腰に触ると痛がる、元気や食欲がないなどの症状が見られます。
今回は、仙腸関節脱臼についての原因や症状、診断、治療、予防方法などについて解説します。
目次
1.原因|交通事故や落下、飼い主様の踏みつけなどの急な事故
2.症状|後ろ足を引きずる、歩けない、腰に触ると痛がるなど
3.診断|レントゲン検査で脱臼を観察
4.治療|手術で外科的に関節を整復する
5.予防|事故に注意! 疑わしい症状が出たら早めに診察へ
犬や猫の仙腸関節脱臼は、交通事故や落下、飼い主様が踏んでしまった、上から重いものが降ってきて挟まれた、ドアに挟まれた、など腰に強い外力がかかることが原因で起こります。
こうした事故は骨盤骨折の原因とも共通するため、仙腸関節脱臼とともに、骨盤骨折や筋肉・靭帯の損傷を起こしているケースも少なくありません。
留守番中や、猫の外出中など、飼い主様の知らないうちに発生していることもあるため注意が必要です。
飼い主様が気づく異変としては、後ろ足を引きずって歩く、歩けないなど歩行の変化や、腰あたりに触ったり、抱き上げたりすると痛がったり怒ったりするなどです。
元気や食欲がなくなることもあります。
神経が損傷を受けると、治療後も歩行障害が残ります。
レントゲン検査で脱臼の有無、、骨盤など他の部位に骨折がないかなどを確認します。
また必要に応じて、血液検査なども実施します。
CTなど詳細な画像診断が必要なケースもあります。
外科手術をしなくてもある程度まで回復し、歩けるようになるケースもありますが、関節が本来の位置に戻らず骨盤が歪み、歩行障害が残る場合や、巨大直腸症など排便障害に悩まされる場合も多くあります。
このため当院では、仙腸関節脱臼に対しては、原則、外科手術で関節を正しい位置に戻す必要があると考えています。
関節が固定されてからでは正しい位置に戻すのは難しいため、早期の治療が重要です。
仙腸関節脱臼は、交通事故や高所からの落下、飼い主様による踏みつけ、重いものが上から落ちてきて挟まれた、ドアに挟まったなどの事故が原因で起こるため、こうした事故を防ぐことで予防できるでしょう。
例えば、犬の場合は散歩時にリードを離さない、交通量の多い道を散歩コースから外す、猫の場合は完全室内飼いにすることで、交通事故を防ぐことができるでしょう。
なかには飼い主様の気づかないうちに起きている事故もあるため、後ろ足を引きずっているなど、疑わしい症状が見られた場合は、早めに診察に連れていらしてください。
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