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潰瘍性角膜炎

角膜とは眼球の前面にある透明な部分のことです。

これは厚さが1mm以下で、いくつもの層(上皮、実質、デスメ膜、内皮)から成り立っています。また、角膜には多くの神経が通っており、体中で一番敏感な部分で痛み等の刺激にすぐに反応します。

潰瘍性角膜炎とは?

潰瘍性角膜炎(かいようせいかくまくえん)は角膜が外側から内側へ1層またはそれ以上の層が破壊されて炎症が起こることです。

角膜の層が何層破壊されるかによって病態も変わっていき、傷の浅い~深い順に表層性潰瘍性角膜炎、深層性(実質性)潰瘍性角膜炎、デスメ膜瘤といい、傷が深くなるにつれ視覚障害の可能性がありえます。

傷が角膜の全ての層を貫いてしまう角膜穿孔は失明の危険性もあります。

潰瘍性角膜炎の原因とは?

潰瘍性角膜炎の原因は、外傷、細菌性・真菌性感染、薬剤による熱傷が挙げられます。外傷によるものは、もともと目が飛び出ている犬種(シーズー、チワワ、パグ、F・ブルドック)に多くみられます。

潰瘍性角膜炎の症状として、目をしょぼしょぼする、目を閉じている、涙が多い、目ヤニが多い、白目の充血、目やその周りをかくというのがみられます。

潰瘍性角膜炎の治療法として、角膜の傷は浅ければ基本的に約1週間で再生されますが、再生の補助として人口涙液の目薬、細菌感染予防のために抗生物質の目薬を頻回投与します。

また、痛みによって目をかく場合は新たな目の傷を増やさないためにもエリザベスカラー(えりまき)着用も必要になります。そして傷が深いほど完治するまでに長い時間を要します。

 

フルオレセイン染色検査を行い、青色のライトで検眼している図(全て左目)角膜に傷がある部分は蛍光の黄緑色に染まります(黄矢印)。また、傷の深さがデスメ膜まで達すると逆に染まらない部分(赤矢印)がみられます。

角膜潰瘍の症例

チワワ3歳、公園で散歩中にほかの犬とけんかになり顔を噛まれた。

目を見てみると眼瞼に2mmほどの裂傷があり、結膜が充血していました。角膜を染色してみると眼球の下方に浅い傷がついていました。

治療は眼瞼の縫合と、角膜潰瘍の治療のための目薬(ヒアルロン酸点眼と抗生剤)を行っていただきました。2週間で両方の傷は治癒しました。治癒過程で角膜が瘢痕化して白く見えますが、一年ほどの時間をかけて徐々に透明になっていきます。

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