瞬膜(第三眼瞼)は左右の目の内側の隅で、まぶたと眼球の間にあります。
これは目を保護し、角膜全体に涙を含んで広げることを助けています。その瞬膜には涙液の30~40%を産生する瞬膜腺が含まれています。
瞬膜腺突出とは、もともと腱膜組織の中にある瞬膜腺が何らかの拍子に飛び出してしまい、慢性的に露出・刺激を受けることによって、腫れ上がり飛び出たままになってしまう病気です。
中には知らぬ間に元に戻っていることもありますが、また再度繰り返すでしょう。赤く腫れ上がった組織がサクランボに似ているので、この状態のことを一般に「チェリーアイ」と言います。
瞬膜腺突出の症状として、目頭が赤い、白目の充血、目ヤニが多いというのがみられます。
瞬膜腺突出の治療法は、手で押して戻る場合もあるのですが、戻らなかったり、すぐに再脱出をしてしまう場合には、手術で整復することが必要です。
昔は瞬膜腺を切り取ってしまう手術も行われていたのですが、瞬膜腺は涙を作る大切な腺であり、切除してしまうと約半数がドライアイになってしまうと報告されているため、獣医学的には、「切り取る手術は行うべきでない」とされています。
そのため、埋没して元の位置に納める「ポケット法」という術式で行います。
4歳ビーグル
主訴:目の内側が腫れてきた
診察してみると目の内側の瞬膜腺が腫脹し、また結膜も赤くなっていました。いわゆるチェリーアイという状態です。
もともとの解剖学的な問題が大きいため抗炎症薬をしても再発が起こりやすいとされています。
今回は飼い主様と相談のうえ、点眼薬での反応を見ることになりました。
点眼治療によりチェリーアイは良化しましたが、また再発が起こった場合は手術を行う予定となっています。