趾間膿胞(しかんのうほう)は肢の感染症で、指の間に最も多く見られます。
皮膚深くの細菌感染により、痛みを伴う膿(うみ)で満たされた水泡が形成されます。軽度の感染から起こる炎症は進行し、時間が経つと排膿してきます。
犬自身が患部を舐めたり、咬んだりすることでしばしば悪化することがあり、そうしたことから患部を清潔に保つことは大変難しいものです。
趾間に短い剛毛質の毛を持つ犬種(ダックスフンド、イングリッシュ・ブルドッグ、ラブラドール・レトリバーなど)が最もよくこの病気にかかります。
歩行時に毛包内に毛が逆に入り込むことが元になって、毛包の深部で炎症を起こしたり、散歩中に尖った植物の種などの異物が入り込んでしまい炎症を起こす場合もあります。
アトピーや犬の毛包虫症、真菌症、甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症、自己免疫疾患などが原因となっていることもあります。
痒みや疼痛により犬自身が患部を舐めたり、咬んだりすることでしばしば悪化することがあります。
治療としてはそれ以上舐めることをやめさせ、細菌の二次感染を予防します。
そのため、皮膚が治癒するまでの間はエリザベスカラーを装着し、舐める行為を防ぎます。全てのケースで抗生物質やステロイド剤による長期間の薬物療法が必要です。
抗生物質が膿胞内に侵入するのは困難であるため、8週間以上の抗生物質による治療が必要になることがあります。
アトピーや毛包虫症、ホルモン疾患などの原因が関与する場合には、その治療も行います。
趾間膿胞は再発することが多く、繰り返す場合や長期化する場合、趾間皮膚の外科的な切除あるいは整復が最も有効な治療法です。
予防のためには肉球の間や指の間を清潔に保つようにしましょう。
散歩の後に足先を拭くのはもちろんですが、犬は唯一肉球にだけ汗をかきますので、日常的にこまめに拭いてあげるなど細菌が繁殖しないようにお手入れをしてあげてください。