靭帯は強い線維組織でできていて2つの骨を連結しています。
膝の上には太ももの大腿骨(太い骨)と膝から下にはすねの脛骨(細い骨)があります。
それぞれの末端は軟骨で覆われ、その間には半月板というクッションの役割をするものが挟まっています。
大腿骨と脛骨は5つの靭帯でつながっていて、膝の中で前後方向の安定のために交差するようにある2つの靭帯が前十字靱帯と後十字靭帯です。
前十字靱帯が断裂すると大腿骨(太い骨)が脛骨(細い骨)上を前後に滑るようになります。
靱帯が断裂するとまず痛がるようになり、足を上げたままにしたりします。
軽度であれば数日で痛みが落ち着くこともありますが、完全に断裂してしまった場合には半月板の損傷により、さらに強い痛みを引き起こします。
診断はまず触診で異常な膝関節のぐらつきがないかを確認します。
さらにレントゲンで実際に大腿骨の前方への変位を確認します。
激しく膝をねじったり、膝を伸ばすような方向で強い力がかかると損傷することがあります。
多くは交通事故などによる外部からの強い衝撃や、中型・大型犬では激しいダッシュやターンを繰り返すと起こすこともあります。
また中年から老齢の肥満犬では常に関節に負担がかかっており、靭帯も弱っているため、少しのジャンプでも切れてしまうことがあります。
断裂の程度によって処置は異なり、運動制限と休養だけですむものもあれば、靭帯の整復手術が必要なものもあります。
前十字靭帯は膝関節を固定する重要な構造です。整復手術では、膝関節の機能を維持しながら、関節の安定性を再建することを目的としています。
前十字靭帯断裂の手術は多くの方法が考察され、関節包外修復法(関節包外法)、関節包内修復法(関節包内法)に大別されます。
※減量をしてあげることで回復も早まり、今以上に損傷がひどくなることも防げます。必要なら体重のコントロールについて担当ドクターがアドバイスをいたします。