橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)の骨折は前肢への外傷の結果として生じます。
骨をおおう組織が少ないために開放性の骨折(骨の上の皮膚を貫通する創傷)が生じることがあります。骨幹の骨折が最も多く、通常、橈骨と尺骨両方の骨が侵されます。
すべての年齢、品種、性の犬に骨折は起こります。若い動物の方が事故を起こすことが多くなります。骨と組織の障害範囲を調べるには骨折した橈骨と尺骨の前後方向と側面方向のX線写真が必要です。
骨折に対する処置には基本原則があり、それは単純骨折でも複雑骨折でも同じです。
包帯による固定は、応急処置や手術前の仮の固定などに用いられます。
手術によって骨を直接つないで固定する方法(内固定法)には、骨髄の中にピンを入れる方法、ワイヤーを骨に巻きつける方法、特殊な金属板とネジを用いる方法などがあります。内固定法の長所は骨折がきれいに治癒すること、関節の機能をさまたげずに固定するため、関節の機能の回復が早いことなどです。
1kg台の小型犬では骨が細く、骨に栄養を与える血管も少ないため、骨折が治癒しにくく、再骨折の危険性も高くなります。
髄内ピンによる固定
※回復するまでは運動を厳しく制限してください。
うまく骨折が治るには自宅での看護がとても大切です。十分気をつけてください。