循環器系疾患

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心タンポナーデ

心臓は胸腔内(肋骨に囲まれた中)にあり、さらに袋に入っています。

その袋と心臓の間は若干の水が存在しますが、病気になると、この水が大量に溜まり心臓が拡張することができなくなってしまい、心臓の働きを弱めます。この状態が心タンポナーデです。

心タンポナーデの原因は?

原因には腫瘍性・外傷性、ウイルス・細菌感染、特発性、右心不全によるものがあります。

心臓が拡張する能力が制限されるため、血液を充分量体に送り出すことができなくなります。慢性経過を経ている場合は代償能力が働く余裕がありますが、急激な発症の場合には虚脱し、心臓性ショックの状態になることが多いです。

無気力、衰弱、元気・食欲の低下と言った漠然としたものから、腹部膨満、呼吸困難、虚脱、失神などの症状が見られます。

心音は聴取しにくくなっており、レントゲン像で心陰影の拡大、超音波で心襄水の貯留により運動が弱まった心臓が観察されます。肝臓の腫大や腹水などもよく見られます。

心タンポナーデの治療は?

治療は針を刺して心嚢水を抜くことが第一選択となります。抜けば動物は楽になりますが、突然死などのリスクを伴います。

また、抜いても再び溜まってしまうこともあります。利尿剤や止血剤を使用して心嚢水の溜まる速度を落とすことはできますが直接効く内服薬はありません。

何度抜いても溜まってしまう場合は心嚢膜切開を検討します。


心襄水が溜まって丸くなった犬の心臓のレントゲン

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