感染した犬の出す唾液、鼻汁が体内に入ってウイルスに感染すると、免疫力が低下し、細菌感染がおこって肺炎や腸炎などが悪化します。
さらに、ウィルスが脊髄や脳の神経細胞に侵入し、ひどい麻痺(まひ)や痙攣(けいれん)発作などをひきおこし、通常、感染後一ヵ月半ほどでほとんどが死亡する恐ろしい病気が犬ジステンパーウイルス感染症です。
感染後、4~7日すると発症して発熱などの症状が出ます。
ちょうどウィルスの排泄が、感染後7日前後から始まるので、感染後、発症して体調をくずし始めた犬が散歩や通院などで出歩いたとき。
あちこちにまき散らした唾液や鼻汁、オシッコやウンチが、ワクチン未接種の子犬や、初回ワクチンを接種したばかりで、犬ジステンパーウィルスへの抵抗力が弱い子犬たちの体につき、それをなめたりすれば、ウイルスは簡単ににほかの犬の体内に入ることになります。
いったん発症し、脳や脊髄の神経細胞が侵されて麻痺や痙攣発作がひどくなれば、病気を根本的に治す手段はありません。
一般に、予防ワクチンの有効性は100%ではありません。
よく知られるように、ワクチン接種とは弱毒化、無害化された安全なウィルスを犬たちに感染させ、同種のウイルス(抗原)をやっつける「抗体」をつくるためのものです。
まれに個体や犬種によって、ワクチン接種しても、ジステンパーウィルスに対する抗体価があまり上がらず、予防効果の少ないケースもあります。
ですが、それでもワクテン接種をすることで感染する確率は減るので、毎年の予防注射を受けることをお勧めします。
ジステンパーウィルス