チョコレートに含まれる毒性物質は、テオブロミンとカフェインです。これらはメチルキサンチン類といって、摂取すると、致命的な心拍リズムの異常や中枢神経障害が発生することがあります。
多くの動物種が中毒を起こしますが、チョコレート中毒が犬に最も多く発生するのは、犬は何でも食べる傾向があり、また実際にチョコレートがすぐ手の届くところにあるからです。
テオブロミンとカフェインは中枢神経を刺激するため、尿量の増加、早い心拍が起こります。激しい症状や死がみられるのは、個々の動物のテオブロミンとカフェインに対する感受性の違いによります。
中毒の症状は通常、チョコレートを食べてから1~4時間以内に現れます。喉が渇き、嘔吐、下痢をして落ち着きがなくなります。
症状が進行すると、異常に活発になり、体の動きがぎこちなくなって、震え、痙攣を示す場合もあります。大量に排尿することもあります。
非常に早く不規則な心拍、早い呼吸、皮膚や粘膜が青みを帯びる、血圧の上昇、発熱、昏睡などを示すこともあります。
残念ながらメチルキサンチン類に対する特異的な解毒薬は存在しません。
チョコレート中毒の症状を示している動物は、震え、痙攣、心拍の異常に対する薬を投与して安定させます。輸液は尿量を増やして、尿中にテオブロミンとカフェインの排泄を増やすために行います。
症状をまだ示していない動物では、強制的に吐かせ、その後活性炭を投与します。
30分ほど前にチョコレート入りのクッキーを食べてしまった。
まずはチョコレートの種類が何かというのが重要になってきます。
ホワイトチョコレートなのかダークチョコレートなのかココアパウダーなのかでテオブロミンの含有量は大きく異なります。
ホワイトチョコレートなら多量に摂取していなければ心配いりませんが、含有量の多いダークチョコレートは少量であっても重篤な症状が出ることがあります。
30分前に食べたということであればまだ胃の中に残っていますので、毒素が吸収されないように早めに催吐処置を行います。
同時に臓器に異常がないかの血液検査も行います。
その後吐いた分の体液を補うための注射や活性炭の内服をしてもらいます。
仕事から帰宅したら様子がおかしい、痙攣している。チョコレートを多量に食べた後があった。
この場合すでに重篤な症状が出ていますから食べたものは体内に吸収されてしまっています。
嘔吐はさせず、臓器障害がないかの血液検査を行いICU管理で点滴による利尿を行います。
通常は積極的な入院治療により回復しますが、摂取量によっては不整脈、昏睡、ときには命を落とすこともあります。