高温、高温度、換気不良が重なると犬猫にとって致命的な熱中症が起こります。
犬猫は人間のように汗をかくことができません。そのため皮膚から水分を蒸発させて体を冷やすことができないのです。あえぎ呼吸と皮膚表面からの熱の放散が体温調節をする主な方法です。
温度と湿度が高いままで空気の循環が悪いと、これらの防御機構はうまく働きません。
急激な体温の上昇(40℃以上)のため、息苦しそうに呼吸をしたり、よだれを大量に出すほか、嘔吐、下痢などが起こります。
症状がさらに進行した場合、虚脱や失神、意識の混濁がみられます。
さらには、完全に意識がなくなったり、全身性のけいれん発作を起こしたりすることもあります。症状がかなり進行すると、重度のショック状態に陥り、ただちに治療しないと死んでしまいます。
短頭種 北方犬種 子犬 シニア犬 小型犬 肥満気味の犬 心臓病や、呼吸器にトラブルを抱える犬。
バグ、ブルドック、ペキニーズ、ボクサーのような短頭種は鼻腔が狭いため、迅速な熱放散のための十分な空気交換ができず、特に熱射病にかかりやすいです。
涼しい場所に移動させ、水が飲める状態であれば水をたくさん飲ませて水分補給を行います。
そして、冷水で濡らしたタオルを体(頭やわきの下、内股のつけね)にかけたり、風呂場や流し台で体全体に冷水をかけるなどして、急いで体温を下げることが重要です。
また、体温は下げずぎないよう、こまめに体温測定を行いましょう。39℃まで下がったら冷やすのをやめて、なるべく早く病院に連れて行き、獣医師の診察を受けましょう。
3歳チワワ、ケージに入ったまま新幹線の座席下で3時間。最初は吠えていたがおとなしくなったため静かに寝ていると思った。
駅に到着後に確認したところぐったりしている。
来院時の体温は41度ありました。高熱を出すと多臓器不全を起こすため、すぐに水道水で体温を下げる処置を行いました。
また重度の脱水も起きているため静脈輸液を行います。体温は38度まで低下し、意識もはっきりしていたため酸素室内での管理となりました。
血液検査では肝数値および腎数値の上昇がみられましたが、内科治療により二日後の血液検査ではほぼ正常にもどり、無事退院しています。
上記症例は2月に来院しました。もともと軟口蓋過長症という呼吸器の異常があったため、興奮すると呼吸困難になり体温がこもってしまう体質でした。ですので冬でも環境によっては熱中症は起こります。気は抜かないようにしましょう。