低血糖症とは、血中の糖分濃度が著しく低下してしまう病気です。
脳は血液中の糖分を唯一のエネルギー源として活動しているため、血糖値が低下すると脳が大きく影響を受け、無気力になり、痙攣(けいれん)発作などの全身症状へ発展します。
子犬の低血糖症の場合は生後3ヶ月までに多く見られ、長時間食事がとれないこと、気温の低下(多くのエネルギーを消耗してしまう)が原因として挙げられます。
成犬では数日間食事を摂らなくても血糖値を維持できますが、成犬の低血糖症の場合は5歳以上の犬に多く、副腎皮質機能低下症(ホルモンバランスの異常)、膵臓の腫瘍(インスリンの過剰分泌)、敗血症(重度の感染症)などの疾患が原因として挙げられます。
また糖尿病を思っている犬は、治療薬として投与されるインスリンの過剰によって低血糖に陥る可能性があります。
低血糖症の症状として、ぐったりする、元気がない、けいれん、下半身の麻痺等がみられます。
低血糖症の治療方法はブドウ糖の投与を行います。また、ステロイド剤などの血糖値を上げる効果のある薬剤の投薬も行うこともあります。
予防として、子犬の場合、空腹になることのないように給餌を1日に3~5回にわけて行い、飼育環境を温かく保ってあげましょう。
そして、低血糖の症状が見られた場合は、対症療法として砂糖水やはちみつを口にふくませてあげてください。
1歳 トイプードル
最近嘔吐が多く、食事を食べれていない。いまはぐったりしている。
来院時は体温が35度とかなり低体温になっていました。血液検査では血糖値が低い状態であったため、当分補給と保温を行ったところ徐々に意識がはっきりしてきました。
本人の状態が安定したためさらに検査をすすめると、バリウム検査で腸閉塞所見があったため、異物摘出手術を行うこととなりました。
腸内につまっていたヒモや髪の毛を摘出し、一週間ほど点滴入院したのちに退院しています。
栄養を取ろうとしても吸収できない状態であれば低血糖になります。とくに若齢・小型犬ではグリコーゲンの貯蓄も少ないため特に注意が必要です。