斜頸とはかしげるように首を斜めに傾ける症状のことを指します。これはウサギの神経症状として最も多くみられます。
斜頸の原因として、Pasteurella multocidaなどの細菌感染による中耳炎・内耳炎、頭の外傷、脳内腫瘍、中毒などが挙げられますが、特にEncephalitozoon cuniculiという微胞子虫(寄生虫)による肉芽腫性脳脊髄炎によることが多いと言われています。
そのため「エンセファリトゾーン症」とも呼ばれ、これは寄生虫の虫体が経口的に摂取され腸管壁から血中に侵入し腎臓での寄生を主としますが、脳にも移行した際に斜頸の症状をあらわすとさています。
診断には、血液検査、レントゲン検査、MRI検査、CT検査が用いられ、中耳炎・内耳炎、頭の外傷、脳内腫瘍、中毒などのある程度の鑑別は可能です。
エンセファリトゾーン症に関しては寄生虫に対する抗体検査を行いますが、確定診断は脳の組織を顕微鏡で調べる病理検査になるため生きているうちの診断は難しいとされています。
症状として、斜頸の他にあまり動かない、立てない、まっすぐ走れない、首が傾いている方向に転がってしまう(ローリング)、眼振等がみられます。
また、重度になると食欲低下、排便量の減少がみられ衰弱して命を落とす危険性もあります。
斜頸の治療方法としては細菌感染であれば抗生物質の投薬を行い、エンセファリトゾーン症であれば寄生虫の駆虫薬を投棄します。
しかし、寄生虫の完全な駆除は非常に困難と言われています。また、治療が終了しても脳に障害が残り斜頸の症状が残ることもしばしばあるため、この病気は早期の発見・治療が大切になってきます。
また斜頸の仔の場合、二次的に下になっている方の目に傷がついてしまう場合が多く、転倒による事故を避けるためにも、床材などにも工夫が必要です。
脳圧の変化により症状が悪化するので、過剰に興奮させてしまうような事は控え、温度管理などにも気を配り、いつもストレスのない落ち着いた環境にしてあげる事が大切です。
また、気圧の変化により症状が悪化していく事があるので、台風接近や低気圧の通過に注意しましょう。