水頭症は、脳内の圧力が異常に高まることによって、様々な神経症状を示す病気です。
頭蓋骨の内部には脳室と呼ばれる空間があり、脳脊髄液と呼ばれる透明な液体で満たされています。
本来、脳脊髄液は脳室で一定量作られ、脳の表面を流れて脳の静脈に吸収されることによって一定の脳圧が保たれています。
水頭症とは、この脳脊髄液が何らかの原因で増えてしまい、脳を圧迫してしまった状態のことです。
この脳脊髄液量のバランスが崩れることに起因して脳室が拡大し、脳組織が圧迫を受けることで症状が現れます。
脳脊髄液が増える理由として以下の3つがあげられます。
・生産が過剰
・循環不全
・吸収障害
原因としては、先天的(遺伝的)、ビタミン欠乏症、外傷、感染症、脳炎、腫瘍の存在などが挙げられます。
好発犬種はチワワ、ダックス、ヨークシャー・テリア、トイ・プードル、ボストンテリア、ペキニーズなど人気の小型種・短頭種に先天性水頭症としての発生が多い傾向にあります。
特徴的な症状は頭部がドーム状に膨らむ、嗜眠(しみん・眠りすぎる状態)、活動性の低下、痴呆や攻撃行動などの異常行動から、筋硬直、痙攣発作、不全麻痺、知覚や意識の障害まで様々です。
また視力障害や眼球の揺れ(振とう)、斜視(両目が違う方向を向く)もみられます。
先天的な遺伝が関係する場合には、生後3カ月~6カ月の間に何らかの神経症状を起こすことがあります。
MRI検査により確定診断ができた場合、治療としては脳脊髄液の量を減らして脳圧を下げる内科的治療、もしくは脳に貯まった脳脊髄液を腹腔などに流すためのバイパス手術を行う外科的治療があります。
しかし根治は難しく、症状の軽減を目的とした対症治療を行うことも多くあります。