膀胱炎は文字通りの尿を貯める膀胱の炎症です。
原因は尿道口(上行性感染)もしくは腎臓(下行性感染)からの細菌感染、尿路結石症、膀胱内腫瘍が挙げられます。
細菌感染は解剖学的にオス犬よりも尿道の長さが短いメス犬での発生が多く、外部から尿道を経て膀胱に細菌が侵入することで起こります。
動物の体には自浄作用があるので健康な体内に細菌細菌が侵入してもすぐに感染するわけではありませんが、飲水量が少なかったり、長時間膀胱内に尿が貯まっているような状況が感染を手伝っていたり、下痢や皮膚病など他の疾病のストレスが背景となっていることもあります。
尿路結石症は尿中の成分が結晶化して、これがチクチクと膀胱を刺激して炎症を起こしたり、さらに大きな結石となって尿路中に留まる可能性があります。
また、犬の尿結石は細菌感染が引き金になっている事も多いです。膀胱炎をおこす原因としてまれに腫瘍の場合もあります。
膀胱炎の症状として頻尿、血尿、何回もトイレに行くが尿量が少ない、排尿時に痛がる等がみられます。
膀胱炎の治療としては抗生物質等の投与、食事療法を行います。
抗生物質で細菌感染を抑え、排尿回数減少、血尿症状が改善されます。結石が見つかった場合は、その種類を特定して食事療法での管理を行います。
尿路結石症は動物の体質に依存しているため食事管理は生涯必要になる場合が多いです。
予防として、日常的にきちんとオシッコをしているか、量や回数は普段と変わりがないだろうか、トイレの時間等に注目しておき、早めに異常に気付けるようにしましょう。
5歳の雌猫が血尿を主訴に来院されました。
また何回かトイレに行っていたが、尿が少量ずつしか出ていなかったようです。
来院時には膀胱に尿は溜まっておらず、尿検査はできませんでしたが膀胱炎による血尿と残尿感を疑って抗生剤と消炎剤の注射治療を行いました。
翌日には血尿は治まり、排尿回数も落ち着いてきていました。
持参して頂いた尿で尿検査を行ったところストラバイト結晶という尿結晶を認め、これが膀胱炎の原因と特定しました。
尿結晶は体質も関わり、食餌療法が必要なため、療法食もすぐにスタートしてもらい、その後は食餌療法と内服治療によって落ち着いています。
寒くなってくると飲水量も少なくなり、特に猫の尿路疾患が増える傾向にあります。
普段からフードをふやかしてみたり、飲み水の置き場を増やしてみるなど、飲水量を増やす工夫も大切です。