去勢手術の目的は、猫の場合は発情行為を抑制することにあります。 未去勢の猫だからなりやすい病気というのはあまりありません。 発情のための手術と聞くとあまりピンとこないと思いますが、未去勢の猫の発情行動は破壊力が凄まじく、 日常生活をともにする飼主さまはその行為に耐えることはできません。 手術の方法は、いわゆるパイプカットや投薬治療によって去勢手術を行うのではなく、睾丸を摘出します。 そのため全身麻酔が必要になります。去勢手術自体は簡易的な手術ですが、他の手術と同等の麻酔を使用しますので、術前の検査が必要になります。 去勢手術は獣医師が行う手術の中でも最も簡単な手術の部類に入りますが、それ相応の準備は必要です。 犬の場合は病気の予防として去勢手術を行うことが主な目的となります。 手術の方法は陰嚢と陰茎のちょうど真ん中ぐらいの皮膚を切開し、通常は1つの傷口から精巣を2つとも取り出します。 手術後の傷の大きさは数センチ程度です。これは取り出す精巣の大きさによりますので、年齢や体格により多少変わってきます。 小型犬であれば、2〜4糸程度の縫合をすれば傷口は十分に閉じることができます。
子宮など生殖器の疾患や乳腺腫瘍といった病気を未然に防ぐための予防的手術が目的です。 大型犬と小型犬では同じ病気を発症する場合の年齢のピークは異なりますが、通常高齢期に差し掛かる年齢(小型犬で7〜9歳、大型犬で6〜7歳)で 発症リスクが高まります。高齢期に入ればいつでも発症のリスクが高くなります。 また安心してはいけないのが1歳から6歳頃までの元気盛りの子達です。 生殖器の病気や腫瘍などは発症リスクは非常に低くなりますが、全くゼロではありません。 乳腺腫瘍の発症リスクは生まれてから2回目までのヒート以降で一気に高まります。 半年ごとに「ヒート」と呼ばれる発情期が来ているかどうか、偽妊娠に伴う乳腺の張り具合はどうかなど、 体調や体の変化をよく見てあげることで病気の早期発見につながります。
病気の予防という点では去勢はしないほうがいいケースもあります。オス犬の場合であれば、前立腺肥大・会陰ヘルニア・肛門周囲腺腫など高齢犬特有に起こる疾患は去勢手術によって予防できます。しかし、オス猫自体がそういった病気になることはありません。逆に去勢手術をすることによって、太りやすくなったり、ペニスが小さくなって尿石症を併発した時に尿道閉塞を起こしやすくなります。 そういった意味では去勢手術はしないほうがいい場合もあります。
未去勢のオス猫は、あたりかまわずスプレー行動を起こし、自分の尿をいたるところにつけていきます。 また尾の付け根から出る分泌腺を、部屋中に擦り付けます。 こういった行動から出る臭気は、飼主さま宅の衛生面を著しく低下させます。これは去勢手術を行うことで完全に防ぐことができます。たまに未去勢のオス猫を飼われている飼主さまもいらっしゃいますが、そのオス猫はなぜかこういった行動がほとんどないからという理由の方がほとんどです。
去勢をしたほうが穏やかになるとは言われてはいますが、正直なところ比較対象がないので、なんとも言い難いところは正直あります。 去勢手術をしていても激しい気性の猫はいますので、去勢手術でどれほどの性格的な矯正ができるかは実際にはわかりません。 ただし、発情中に起こる雄叫びのような鳴き声は去勢をすればほぼないので、そういった意味では、断然飼いやすくなるとは思います。
去勢手術を行うと顔つきが変わったり、毛質が変わったりします。一般的には去勢オスの猫のほうが好まれる傾向にはあると思います。またその他の意見としては、手術をしないことで多額の費用がかからないことが一つのメリットとして挙げられます。
獣医師によっても考え方は異なりますが、おおよそ若齢期に手術をすることを推奨しているのが共通して言えることです。 通常は生後半年程度(6ヶ月齢)での避妊手術がベストなタイミングであると考えられています。 よって、若いうちに避妊手術を行えば、病気のリスクは間違いなく最大限予防できると言われています。
多くの犬が7か月くらいまでに永久歯が生えそろいます。 そのため、去勢手術を考え始める頃にはまだ乳歯が数本残っている場合があります。 順調に生え変わりが進めば問題ないのですが、乳歯遺残となりこれからずっと乳歯が残る可能性もあります。 去勢手術時に乳歯が残っている場合、去勢手術の麻酔と一緒に乳歯を抜いてしまうのも一つの方法です。 放置しがちな乳歯遺残を同じ麻酔で治療・予防できるのは大きなメリットです。 「永久歯が生えそろっていない」「乳歯がまだたくさん残っている」というような場合は、成長がゆっくりの子かと思いますので、 少し去勢手術を遅らせた方が良いケースも考えられます。
Price
総合計 51,700円
~8㎏ 総合計 57,200円
~12㎏ 総合計 61,600円
~16㎏ 総合計 66,000円
~20㎏ 総合計 70,400円
~24㎏ 総合計 74,800円
※24kgを超える場合は、スタッフにお尋ねください
術前検査セット 内訳
全体重共通 24,200円(術前検査時に徴収します)
再診料
血液検査
採血料
全血球計算
生化学(10項目)
電解質
アンモニア(NH3)
胸部X線検査
撮影2枚
読影料
腹部超音波検査
避妊手術セット 内訳
猫 27,500円
犬~8kg 33,000円
以降4㎏ごとに+4,400円
(避妊手術時に徴収します)
再診料
留置技術料
点滴料
入院室使用・管理料
入院治療費
全身麻酔
避妊手術
抗生物質1種類
カラー or 腹帯
※追加料金
乳歯抜歯 1,100~2,200円/本
臍ヘルニア整復 8,800円
総合計 40,700円
~8㎏ 総合計 46,200円
~20㎏ 総合計 53,900円
~40㎏ 総合計 59,400円
※40kgを超える場合は、スタッフにお尋ねください
術前検査セット 内訳
全体重共通 24,200円(術前検査時に徴収します)
再診料
血液検査
採血料
全血球計算
生化学(10項目)
電解質
アンモニア(NH3)
胸部X線検査
撮影2枚
読影料
腹部超音波検査
去勢手術セット 内訳
猫 16,500円
犬~8kg 22,000円
~20㎏ 29,700円
~40㎏ 35,200円
(去勢手術時に徴収します)
再診料
留置技術料
点滴料
入院室使用・管理料
入院治療費
全身麻酔
去勢手術
抗生物質1種類
カラー or 腹帯
※追加料金
乳歯抜歯 1,100~2,200円/本
臍ヘルニア整復 11,000円
潜在精巣(腹腔)16,500円
潜在精巣(皮下)5,500円
麻酔をかけることは性別は関係なく、麻酔時間や麻酔方法によって手術内容が大きく異なります。 万が一のリスクのために、しっかりとした術前検査を受けて、できる限り手術のリスクを減らす努力をすべきです。 意外と飼主さまは重要視されませんが、 獣医師にとっては手術を行う前の身体検査は非常に重要だと考えています。 体重・体温・呼吸数・心拍数から、体格など外貌の状態・聴診・触診などの大切な情報を確認しています。 「非常に痩せていて年齢に見合った適正な体格に達していなかったら」「聴診で心雑音が聴こえたら」「呼吸の仕方が不自然だったら」など、 こういったことは獣医師からの目線でみるとすぐにおかしいと気づきます。手術を受ける前には予約を取る前に病院で身体検査を受けることが重要です。
Step
まずは手術に関してのお問い合わせをお願いします。電話でのご相談も可能です。 スタッフからは「性別」「年齢」「手術希望日」をお伺いします。 術前検査や料金、手術のリスク等のお話もさせていただきます。
手術前の12時間以上は絶食をお願いしております。 予想外の出来事が起こることはありませんが、全身麻酔を使用しますのでリスクは「0」ではありません。 たまに若くても検査を行うと思いがけない異常値が出てくることもあります。 手術当時でも検査は行うこともできますが、やはり事前に術前検査は手術の安全を担保するためにも、1週間前までに行うことをおすすめします。
しっかり縫合しているとはいえ、当日は傷口からじわじわと出血がみられる場合もあります。 また、全身麻酔を使用しての手術になるので、麻酔がさめた直後は身体が思うように動かないこともあります。 傷口の管理や麻酔後の体調を観察しながら、1泊は動物病院でお預かりをして様子を見させていただきます。 手術が終わり「早く家に帰って来て欲しい!」という気持ちもわかりますが、当日は特に注意深く様子を見てあげることが必要です。 獣医師と十分に相談をして、無理をさせないことも大切です。
去勢手術の術創は小さく、通常の生活をしている分には問題ありません。 しかし、犬が傷を執拗に舐めたり、縫い合わせている縫合糸を噛み切るようなことがあれば、もちろん傷口が開いてしまう可能性はあります。抜糸が終わるまでは、エリザベスカラーや術後服を着用していただいております。 去勢手術をうけた犬の多くは、退院のときにはいつも通り動き回ることができます。 手術の傷口を強く痛がるようなことはほとんどなく、お食事もいつも通り食べてもらって構いません。 しかし、手術のストレスや、入院での慣れない環境に疲れてしまっている犬もいます。 犬が遊びたがっていても、退院後は出来るだけ安静にするように心がけてあげてましょう。
手術に際しては院内でお預かりをさせていただきます。 入院している子などもおりますので、各種感染症の予防の観点から以下の項目の予防をお願いしております。 予防薬には様々な種類の取り扱いがございます。詳細は当院スタッフまでお問い合わせください。
ノミやダニといった外部寄生虫の予防です。 基本的には屋外の自然環境から感染することが多く、散歩時に感染するケースが多いかと思います。 症状としては皮膚の炎症、それに伴う痒みなどが主となります。 予防薬の使用で駆虫及び忌避効果(虫を体に留まらせない)が期待できます。
蚊がフィラリア症に感染している動物を吸血し、蚊の体内で増殖、他の動物の吸血の際に感染する、血管内に寄生する寄生虫です。
伝染病や致死性が高く、治療が難しい感染症に免疫をつけるために必要です。 子犬・子猫は生後2ヶ月ほどから感染症の抵抗力がなくなってしまうため、数週間ごとに2〜3回の予防接種を行います。 大きくなってくると年1回の予防接種で免疫を維持します。
Surgery
お腹の毛を剃り、消毒し、滅菌布をかけます。
皮膚を切開しますが、出来るだけ小さな傷で終われるように、最善を尽くします。切開線は個体差もありますが、約1〜3cm程度が目安となります。
皮膚の下にある腹筋を切開します。
子宮吊り出し鈎と呼ばれる器具で、腹腔内から子宮を吊り上げます。
卵巣は2つありますが、子宮の形は人と異なりYの時になっています。 片側を引っ掛けて持ち上げます。
子宮の先にある卵巣の血管と靭帯を結紮し、切除します。
もう片方も同様に切除します。
Yの字になった子宮の根元を結紮し切除します。
あとは腹筋と皮膚を縫合します。 だいたい1.5cm程度の切開で済みました。
肥満やその他の要因で大きく切開することもありますが、傷口を小さく終わらせるように努力しております。 非常に困難な手術に対応できるように設備などを整えていくのも必要ですが、こういった避妊や去勢などいった手術でも、動物の負担が最小限に済むよう日夜トレーニングするのも、獣医師としての責務であると考えます。
睾丸を入れる袋(陰嚢)の付近を切開し、睾丸そのものを摘出します。 精管のみを結紮するいわいるパイプカットではありません。