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フィラリア予防・ワクチン接種で予防できる可能性あり│犬の肝不全について

2023.01.10
犬の病気

肝臓は消化酵素の分泌、各栄養素の代謝、有害物質の無毒化、ビタミンやホルモン代謝など、生命維持にかかわる多くの重要な機能を担っています。

肝不全はこの肝臓が何らかの原因で正常に機能できなくなった状態で、犬では感染症や毒物・薬物、熱射病などが原因になります。

肝臓の病気は肝細胞の80%以上が障害を受けるまで症状が出ないいため、肝不全の明らかな症状が出た犬では、かなり深刻な状況になっていることもあります。

 

原因|感染症や薬物、毒物。遺伝性や原因不明も


肝不全は、進行スピードから急性肝不全慢性肝不全に分けられます。

急性肝不全は、犬アデノウイルスやレプトスピラ、トキソプラズマ、フィラリアといった感染症や、毒物や薬物、交通事故や落下などによる腹部の損傷、腫瘍、熱射病などが原因で起こります犬の慢性肝不全は遺伝性や特発性(原因不明)が多くアメリカンコッカースパニエルやイングリッシュコッカースパニエルで発生が多いとされています

また、ベトリントンテリアウェストハイランドホワイトテリアでは、銅が肝臓に蓄積して肝障害を起こす銅関連性炎が多といわれています。

ほか、急性肝不全から慢性肝不全に移行することもあります。

肝不全が進行して肝臓が繊維化すると肝硬変に移行します

 

症状|黄疸、食欲不振、嘔吐、下痢、肝性脳症からのけいれんや意識障害も


急性肝不全では急に元気と食欲がなくなります

体が黄色くなり(黄疸)嘔吐や下痢多飲多尿などが見られ、肝性脳症を起こすと意識障害や沈うつ旋回運動けいれん昏睡などの症状が現れることもあります。

慢性肝炎では元気や食欲の低下嘔吐多飲多尿など、あまり特徴的な症状は出ませんが、進行により黄疸や腹水肝性脳症や、血液凝固障害などが見られます。

 

診断|血液検査と画像診断。原因の特定ができない場合も


血液検査、レントゲン検査、超音波検査などを行います。

肝不全の原因を特定するために他の検査も追加しますが、特定が難しい場合もあります。

 

治療|輸液療法や解毒薬による内科治療


急性肝不全の治療では、輸液療法や解毒薬の投与を中心とした応急処置と、症状に対する対症療法、考えられる原因疾患への治療を行います。

慢性肝不全では原因と考えられる物質をできる限り除去し、不足しやすいビタミンやミネラルの補給や、強肝剤の投与、胆汁のうっ滞(消化管の運動が止まってしまうこと)を起こしている場合は利胆剤の投与や、食事療法などを行います。

 

予防|感染症予防と定期検査での早期発見がカギ


急性肝不全の原因となる犬アデノウイルス1型レプトスピラ混合ワクチンの接種で予防できる可能性があります

フィラリアも本病の原因になる可能性がありますので、確実に予防しましょう

本病は早期発見が予後を決めるカギです。

好発犬種であるコッカースパニエルやベトリントンテリア、ウェストハイランドホワイトテリアはもちろん、他の犬種であっても若い頃からの定期検査を習慣にしましょう。

 

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<参考文献>

Molly A Weingarten, Allison A Sande. Acute liver failure in dogs and cats. J Vet Emerg Crit Care (San Antonio). 2015 Jul-Aug;25(4):455-73.

Kassahun A. Negasee. Hepatic Diseases in Canine and Feline: A Review. Vet Med Open J. 2021; 6(1): 22-31.

 
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