尿毒症は腎臓病が進行し、体内の老廃物や余分な塩分・水分がほとんど排泄できなくなった結果、様々な障害を引き起こしてしまう状態です。
尿毒素という有害物質が体中に蓄積し、嘔吐などの消化器症状が起きたり、息がおしっこ臭くなったりします。
進行するとけいれんや意識障害など、犬や猫に様々な神経症状を引き起こします。
尿毒症は中高齢の犬や猫に多い慢性腎臓病や、急性腎障害などの末期症状として見られ、治療しないと死に至る非常に危険な状態です。
腎臓は、体にとって不要な老廃物や、余分な塩分・水分を尿として体外に排出する役割があります。
腎臓に入る血液が減ったり、腎臓自体が障害を受けたり、尿が出なくなったりすると、腎臓の機能が低下します。
この状態が続くと尿毒素と呼ばれる有害物質が体内に蓄積し、様々な障害を生じるようになります。
尿毒症は、急性腎障害や慢性腎臓病の末期症状であるため、急性腎障害・慢性腎臓病を引き起こすもの全てが尿毒症の原因になります。
特に慢性腎臓病は進行するまで症状が現れにくいため、尿毒症を起こしてから気づく飼い主さんも少なくありません。
尿毒症には口臭がおしっこ臭くなるという特徴的な症状がありますが、全ての犬猫でこれが起こるわけではありません。
また、元気や食欲がなくなる、嘔吐や下痢・便秘などの消化器症状を示す、体重が減る、被毛がガサガサになる、手足がむくむ、貧血などの症状が見られることもあります。
進行するとけいれんや意識障害などを起こし、深刻な状況に陥ります。
血液検査で血中尿素窒素(BUN)とクレアチニンの値の上昇を確認します。
犬猫の腎臓病はクレアチニンなどの値によって分類されていますが、尿毒症を起こすもの(急性腎障害ではグレード3~5、慢性腎臓病ではステージ3~4)は中程度~重度の腎臓病と診断されます。
ほか、腎障害の原因特定や併発疾患の確認のため、尿検査や超音波検査、レントゲン検査などを行うこともあります。
尿毒素や老廃物を積極的に体から出すために、輸液や利尿剤の投与を行います。
同時に、症状を緩和する対症療法も行います。
透析という選択肢もありますが、実施可能な施設は限られています。
残念ながら治療の甲斐なく命を落としてしまうこともあります。
尿毒症は腎臓病の末期症状ですので、急性腎障害・慢性腎臓病の早期発見は予防につながります。
腎臓の病気は症状が出にくく、飼い主が異常に気づく頃にはすでに進行してしまっていることも少なくありません。
特に中高齢の犬猫に多い慢性腎臓病は緩やかに進行するため、普段の様子だけで早期発見することは難しいでしょう。
定期的な健康診断で腎臓病は早期発見できます。
当院では2022年11月1日から2023年2月28日まで「猫ちゃんの健康診断・定期検査キャンペーン」を開催中です。猫の急性腎障害・慢性腎臓病も検査で早期発見ができる可能性がありますので、この機会に健康診断・定期検査を受診してはいかがでしょうか。
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東京都練馬区に本院を置き、東京都内、埼玉県で4つの動物病院を運営しています
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<参考文献>
P E Teschan. On the pathogenesis of uremia. Am J Med. 1970 Jun;48(6):671-7.
International Renal Interest Society (IRIS). IRIS Kidney (iris-kidney.com)