猫が突然うつむいて、首を伸ばしてゼーゼーと変な呼吸をしはじめた。
急なことで驚かれる飼い主さんも多いと思いますが、もしかしたらそれは、猫の喘息かもしれません。
そもそも喘息は、炎症によって気道(空気の通り道)が狭くなることで、反復する発作性の呼吸困難が起こる病気です。
えずいているようにも見えるため、飼い主さんが嘔吐と勘違いされることもあります。
適切な対応をしてあげるためにも、情報を整理しておきましょう。
はっきりとはわかっていませんが、ハウスダストやタバコ、芳香剤、花粉といった刺激物に対するアレルギーの関与が疑われています。
トイレの芳香剤や飼い主さんの香水なども刺激物になり得ます。
また、ストレスも原因の1つではないかと考えられています。
発作時には急に頭を下にむけ、首を伸ばして、ゼーゼーやゲーゲーといった音を立てて苦しそうに呼吸をしたり、咳をしたりします。
発作は一時的で自然に止まる場合もあれば、舌が青白くなるチアノーゼを起こすほど続く場合もあります。
チアノーゼは低酸素状態に陥っている場合に見られる症状で、大変危険な状態なので、発作時に舌が青白くなった場合はすぐに受診してください。
通常、体温は正常ですが、炎症の影響で発熱する場合もあります。
喘息の発作は再発が多く、長期間繰り返し起こることがほとんどです。
病歴と症状から暫定的な診断は可能ですが、肺炎や気管支炎、胸膜炎、横隔膜ヘルニア、リンパ腫など症状が似ている病気との鑑別のために、レントゲン検査や血液検査など、各種検査を行います。
通常、喘息ではレントゲン検査で様々な異常が発見されますが、喘息に限ったものではありません。
場合によっては、異常が明らかではないこともあります。
気管支拡張剤やステロイド製剤で症状を抑えつつ、原因と疑われるアレルゲンを生活環境から取り除きます。
また、状況に応じて、酸素吸入や吸入療法などで治療します。
喘息を予防するためには、猫の生活環境から、アレルゲンになりうるタバコやハウスダスト、芳香剤や香水、花粉などを遠ざけることが重要です。
前述したような症状が見られたら、すぐに動物病院を受診しましょう。
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<参考文献>
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Carol R Reinero, Isabelle Masseau, Megan Grobman, Aida Vientos-Plotts, Kurt Williams. Perspectives in veterinary medicine: Description and classification of bronchiolar disorders in cats. J Vet Intern Med. 2019 May;33(3):1201-1221.
Christine M Venema, Coretta C Patterson. Feline Asthma: What’s New and where might Clinical Practice be Heading? J Feline Med Surg. 2010 Sep;12(9):681-92.