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交通事故や落下事故には気をつけよう│犬と猫の横隔膜ヘルニアについて

2023.03.24
犬の病気猫の病気

ヘルニアとは臓器が本来あるべき場所から脱出してしまう病態のことで、犬や猫では椎間板ヘルニアや臍ヘルニア、鼠径ヘルニアなどがあります。

横隔膜ヘルニアは、横隔膜という胸腔と腹腔を隔てる筋肉が破れたり穴が開いたりすることで腹腔内の臓器が胸腔に入り込む病気です。

先天性のケースもありますが、犬や猫の横隔膜ヘルニアの多くは交通事故や落下事故が原因で発生します。



原因|交通事故や落下事故が多い。先天性である場合も。


多くは交通事故落下事故により、腹部が急激に強く圧迫されたことで横隔膜が傷つき、腹腔内の肝臓や胃、腸管などが胸腔に入り込むことで発生します。

先天性(生まれつき)の場合、多くは腹膜心膜横隔膜ヘルニアと呼ばれるもので、心臓を囲む心嚢(心臓を包む袋のようなもの)とつながって心嚢内に臓器が入り、心臓を圧迫します

なお先天性の横隔膜ヘルニアは、犬よりも猫の発生が多いことで知られています。

 

症状|呼吸器症状や消化器症状、ショック症状を起こすことも


胸腔内に侵入した臓器やその量にもよりますが、肺や心臓が圧迫されるため、呼吸が荒くなったり、低酸素から舌が青くなったりします

また、胸腔内に消化管が侵入すると、
食欲不振嘔吐など消化器症状が見られます。
進行するとショック状態に陥るケースもありますが、無症状で経過する犬や猫もいます。

 

診断|レントゲンや超音波などの画像診断


造影検査も含めたレントゲン検査や超音波検査で、腹腔内臓器の胸腔内への侵入を確認します。
また、必要に応じて血液検査など他の検査も追加します。

 

治療|外科手術で横隔膜を修復し、臓器を元の位置に戻す


最も一般的な治療法は、外科手術で横隔膜を修復して、臓器を正常な位置に戻すことです。
ただし、ショック症状を起こして手術に耐えられない可能性がある場合は、まずは状態を安定させる治療が優先されます。

また、検査で異常が見つかっても無症状の場合、手術せずに経過を観察することもあります。

 

予防|交通事故や落下事故を防止する。猫は室内飼いの徹底を


先天性でなければ、多くは交通事故や落下事故などが原因ですので、こうした事故を防ぐことが予防につながります。

犬の場合はしつけも重要で、
散歩時に急に走り出すなどがないようにしましょう
また、外出時は飼い主様も周囲に十分注意してあげてください。
猫の場合は室内飼いを徹底し、室内での落下事故などないよう、環境に注意を払いましょう

 

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<参考文献>

Hyun C. Radiographic diagnosis of diaphragmatic hernia: review of 60 cases in dogs and cats. J Vet Sci. 2004 Jun;5(2):157-62.

Hossein Kazemi Mehrjerdi, Masoud Rajabion, Ali Mirshahi, Ensiyeh Sajjadian Jaghargh. A retrospective study on diaphragmatic hernia in cats. Vet Res Forum. 2022;13(4):607-610.

Angela C Banz, Sharon D Gottfried. Peritoneopericardial diaphragmatic hernia: a retrospective study of 31 cats and eight dogs. J Am Anim Hosp Assoc. 2010 Nov-Dec;46(6):398-404.

 
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