動物病院への来院理由として、意外と多いのが異物の誤飲誤食です。
異物とは犬や猫が食べてはいけないものの総称で、明らかに食べ物ではないものから、人間にとっては安全でも犬や猫には危険な食べ物・植物までさまざまです。
誤飲誤食は命に関わるものもありますので、犬や猫を飼われている方はぜひ覚えておきましょう。
おもちゃ、トイレシート、ボタン、針、紐や布など、消化できないものは食べさせてはいけません。
焼き鳥の串や骨、梅干しや果物の種などを食べてしまうケースは比較的多くあります。ゴミ箱を漁られないよう注意してください。
タバコは中毒を起こす危険があるため、絶対に近づけないようにしてください。
また、植物の中には犬や猫に中毒を起こすものもあります。
例えば、チューリップやスズランなどのユリ科植物は、花瓶の水を飲んだだけでも猫の命に関わる毒性の高い植物です。
人間の食べ物にも動物が食べてはいけないものがあります。
タマネギ中毒は、タマネギ以外にも長ネギやニラ、ニンニク、それらが含まれた加工食品や調味料でも起こります。
ブドウやチョコレート、キシリトールやアボカドなども犬猫にとって危険な食べ物です。
あるいは、人間の薬を誤飲してしまうケースもあります。
特に猫は人間の風邪薬で激しい中毒を起こすことがあるため、絶対に与えないようにしてください。
食べたものによりますが、嘔吐や下痢などの消化器症状を起こすケースが多く見られます。
異物が消化管内で詰まると閉塞が起こり、激しい嘔吐や下痢、排便停止などを起こします。
針や串など鋭利な異物が胃や腸を内側から突き破ることもあります。
また、食べたものによっては神経症状や血尿、貧血などの中毒症状を起こします。
犬や猫が食べてはいけないものを食べたり飲み込んだりした場合はなるべく早く受診してください。
吐かせられるものであれば、催吐処置で口から吐かせます。
全身麻酔をかけて内視鏡で取り出すこともあります。
それでも取り出せなかったり、腸に入ってしまったり、閉塞を起こしている場合は、外科手術で取り出します。
異物に危険性がなく便と一緒に出てくるサイズであれば、様子を見ることもあります。
場合によっては胃洗浄などの処置が必要です。
食べたかわからない場合についても、疑いがある場合は早めにご連絡ください。
なお、肛門から紐が出ていても絶対に引っ張らないでください。
無理に引っ張ると腸が破れてしまいます。
ご自宅での処置は危険ですので、必ず獣医師にご連絡ください。
口にしてはいけないものを犬や猫の届くところに置かないようにしましょう。
お部屋に観葉植物や花などを飾る場合は、犬や猫への毒性を確認してください。
もし犬や猫が異物を咥えていても、慌てて取り上げようとしないでください。
取られまいと飲み込んでしまうことがあるので、他のもので気を引くなど、落ち着いて対応しましょう。
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<参考文献>
Cristina Cortinovis, Francesca Caloni. Household Food Items Toxic to Dogs and Cats. Front Vet Sci. 2016 Mar 22;3:26.
Natália Kovalkovičová, Irena Sutiaková, Juraj Pistl, Václav Sutiak. Some food toxic for pets. Interdiscip Toxicol. 2009 Sep;2(3):169-76.