犬種の問題
安産の守り神とも言われており、安産を祈願する戌の日なんてものもあるもので、犬は安産というイメージが強いかもしれません。
確かに体が大きくて出産頭数の多い大型犬や日本犬などは比較的安産。
昔の日本は人の手伝いがなくてもポンポン仔犬を産んでいたのかも。
しかし、現在人気のある小型犬や短頭種は違います。
非常に難産が多く、人の手助けがなかったら出産できなかったり、帝王切開で生まれてくる事の多い犬種達です。
これは、
・小型犬は出産頭数が少なく、胎児が大きくなりやすい
・小型犬や短頭種は体に比べて頭が大きいので産道を出にくい
等が理由となります。
小さな犬ほど、自分の体に対して大きな仔犬を産むので難産になりやすいです。
また、中でもブルドッグ系の犬種は特に産道が狭く、仔犬の頭や肩も大きいため、まず100%難産になります。
つまり、妊娠をさせるのであれば、帝王切開での出産が前提ということです。
またミニチュア・ダックスフンドでは、比較的妊娠頭数が多いため、出産中に母親の体力が無くなってしまうケースがあります。
これらの難産になりやすい犬種というのは、母親も仔犬も出産のリスクが大きいということ。
繁殖させるかどうかは飼い主が特にしっかりと考えなくてはいけません。
逆に安産だからと言って大型犬を繁殖させれば、遺伝性の疾患や里親探しなど、また別の問題が出てきます。
年齢の問題
メス犬の出産適齢期は2~5歳程度と言われています。
現代の犬の寿命を考えるとかなり短く感じますよね。
しかし、初回発情での交配や、高齢になってからの出産は、体への負担が大きく、難産になる可能性も高くなるため勧められません。
愛犬と過ごす楽しい時間はあっという間。
「お婿さんを探している間に、高齢になってしまった…」なんていう話も少なくないです。
本格的に出産を考えているのであれば、早めに準備は進めておく必要があるでしょう。
交配適期の問題
メス犬だけを飼う飼い主が、ベストなタイミングでオス犬とお見合い(交配)させようというのは、決して簡単ではありません。
犬の発情は年に1~2回。
つまり、妊娠できる機会は年に1~2回だけということです。
交配のタイミングは「発情出血から10~14日」などと言われる事が多いですが、実際にはかなりの個体差があります。
そのため、出血からの日数だけではなく、交尾を許してくれるか(許容)、膣粘膜の状態はどうか(スメア検査)などにより総合的に交配のタイミングを判断する必要があります。
犬の相性の問題
では、同居のオス犬がいる場合はどうでしょう?
交配のタイミングは本人達に任せていても、妊娠が成立する確率はきっと高くなることでしょう。
後は「二人の相性」の問題です。
お婿さんに飼い始めたものの、相性が悪くて片方が嫌がってしまうのでは、やはり上手くいきません。
しかし、こればかりは誰も予想がつかないのです…。
また、ダックスやシェルティ、プ-ドルなどでは、親犬の毛色の組み合わせによって先天的な遺伝病が発生しやすくなったり、基本的な犬種の毛色とは異なる毛色が生まれてしまったりすることがあります。
犬種によっては、繁殖に適した組み合わせと適さない組み合わせというものもあるのです。
まとめ
妊娠や出産そのものに反対をするわけではありません。
もちろん避妊手術をしてしまえば、その犬が妊娠や出産をする機会というのは、永遠に失われてしまいます。
しかし、母犬の健康に加えて、仔犬の世話や里親など、飼い主が責任をもって管理をしなくてはいけない事はたくさんあります。
その覚悟が中々出来ずに、出産をしないまま段々と高齢になり、生殖器の病気になってしまった。ということにはなって欲しくありません。
「出産が愛犬や家族に本当に適しているのか?」「準備は本当に整えてあげることが出来そうか?」避妊手術を検討するときには、十分に考えてもらえると良いと思います。