腹膜炎は、腹腔や腹腔内の臓器を内張りしている腹膜に炎症が起こる病気です。
さまざまな病気に併発するため、犬種や年齢にかかわらず起こり、
腹腔内の臓器の障害や腫瘍、感染症のほか、犬では誤食したおもちゃや串が原因になることもあります。
感染がある場合は敗血症性ショックを引き起こし、最悪の場合、死に至ります。
腹膜炎は早期発見が予後を握る重要な鍵ですので、犬に異常が見られたらすぐに受診してください。
腹膜炎は、その原因から原発性と二次性に分けられます。
・原発性:腹腔内の臓器の損傷や感染症(微生物が腹腔内に侵入しない場合)が原因
・二次性:他の病気が原因で腹腔内に微生物や刺激物が侵入することが原因
犬では、子宮蓄膿症や急性膵炎、胆嚢(たんのう)破裂、腫瘍、誤食した異物が消化管を突き破った場合などに二次性の腹膜炎が起こります。
また、まれですが、外科手術後の細菌感染を原因に発生することもあります。
特徴的な症状はありませんが、痛みを示すことが多く、ぐったりしたり、背中を丸めてお腹を痛そうにしたり、お腹に触ると鳴いたり怒ったりします。
原因にもよりますが、発熱、嘔吐や下痢、荒い呼吸を呈して、元気や食欲がなくなります。
腹膜炎では腹水を併発していることが多いため、お腹が膨らみチャポチャポと水を含んだようになることもあります。
進行してショック症状を起こすと、体温が下がり、体から力が抜けて意識を失ってしまいます
身体検査で腹膜炎が疑われた場合は、血液検査のほか、超音波検査やレントゲン検査を行います。
腹水がある場合は、診断のために腹腔内に針を刺し、腹水検査をして原因疾患を探るヒントにします。
感染症が疑われる場合などは、外部機関へ検査を依頼することもあります。
腹膜炎を起こしている原因の治療をしながら、感染がある場合は感染源の除去や原因微生物への治療を行います。
このほか、対症療法として輸液や抗菌薬、抗炎症薬の投与、ショック症状を示している場合は、ショックに対する治療を行います。
なかには開腹手術が必要になる場合もあります。
原因が早くわかれば助かる可能性が上がりますが、治療の甲斐なく亡くなってしまうこともあります。
腹膜炎は、進行により急激に状態が悪化し、命を落としかねない恐ろしい病気です。
早期に正しく原因を突き止められれば助かる可能性が高まりますので、様子がおかしいと思ったらすぐに受診しましょう。
誤って食べたおもちゃや串が消化管を突き刺し、外傷性の腹膜炎になることもあります。
1回でも異物を誤食したことのある犬は繰り返しがちなので、危ないものは近づけないよう、くれぐれもご注意ください。
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