肝炎は、中毒や感染などにより肝細胞の障害や炎症が起きる病気です。
肝臓は正常な肝細胞が20%以下になるまで正常に働くため、肝炎は猫の病気の中でも特に症状が出にくい病気です。
進行して肝硬変になると予後不良(これから病気が悪くなる可能性が高いということ)になりますので、早期発見が重要です。
肝臓の不調は血液検査の結果に現れます。
猫が元気そうに見えても定期的に検査して健康状態を確認することをお勧めします。
肝炎はその原因で、主に感染性、寄生性、中毒性に分けられます。
・感染性:細菌やウイルスへの感染が原因。胆嚢(たんのう)や十二指腸、膵臓の炎症を伴うこともある。猫白血病や猫伝染性腹膜炎も関与。
・寄生性:トキソプラズマ原虫や吸虫類、回虫などの寄生が原因。
・中毒性:殺鼠剤(さっそざい)に含まれるワルファリン、銅やヒ素などの金属、カビの毒素であるアフラトキシン、人間の風邪薬に含まれるアセトアミノフェンやアスピリンなどが原因。ミネラル欠乏や栄養不足が原因になることもある。
肝炎には急性肝炎と慢性肝炎がありますが、猫では胆管肝炎による胆汁うっ滞も慢性肝炎の原因になります。
末期状態になると肝硬変へと移行します。
肝臓は予備能力と再生能力が高い臓器です。
年齢や健康状態にもよりますが、正常な肝細胞が20%残っていれば正常に機能するといわれています。
このため、一般的に肝臓の病気の多くは無症状で進行し、症状が出た時点では既に深刻な状況にあることが少なくありません。
よく見られる症状も元気・食欲の低下、嘔吐や下痢などで、特徴的なものではありません。
肝臓の病気で見られる黄疸(おうだん)も確認されます。
中毒を起こしている場合は、肝臓の症状に加えて中毒症状も見られます。
急性肝炎では、肝臓のあたりを押されると痛がる、多尿、発熱、神経症状などが見られることもあります。
診断は血液検査や画像診断(超音波検査、レントゲン検査)で行われます。
感染性や寄生性が疑われる場合は、原因を探るために追加検査が行われることもあります。
また、中毒の場合は問診が重要です。
慢性肝炎で症状がなかなか治らない場合は、肝生検を提案することもあります。
原因にもよりますが、一般的に輸液や内服薬の投与により治療が行われます。
中毒の場合は解毒剤の投与なども並行します。
ほか、強肝剤の投与や、胆汁うっ滞がある場合は利胆剤を使用することもあります。
嘔吐や下痢などの症状がある場合は、それに対する治療も行います。
原因となるような中毒性物質から猫を遠ざけましょう。
猫にとって安全かわからないものは、近づけないようにしてください。
発見時期は予後を左右する重要な要素になりますので、定期検査による早期発見も重要です。
当院では2022年11月1日から2023年2月28日まで「猫ちゃんの健康診断・定期検査キャンペーン」を開催中です。猫の肝炎も検査で早期発見ができる可能性がありますので、この機会に健康診断・定期検査を受診してはいかがでしょうか。
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