外耳炎は犬でよく見られる病気です。かゆみから耳をふる、掻く、床に擦り付けるなどの行動の変化が見られます。
また、耳の内側に赤みや腫れが見られ、耳が臭くなったり、耳垢が増えたり色が変わったりします。
外耳炎の原因は耳の皮膚バリア機能の低下とそこに増殖した細菌や真菌、寄生虫などで、それぞれに合わせた治療が必要です。
放っておくと重症化してしまうこともあるので、異常が見られたら早めに受診しましょう。
耳には外耳、中耳、内耳があり、鼓膜の外側を外耳と呼びます。
外耳炎はこの外耳に炎症が起こる病気です。
皮膚と同様に、外耳の皮膚にもバリア機能があり、これが正常に働いていれば細菌や真菌に感染することはありません。
しかし、何らかの理由でバリア機能が低下すると、細菌や真菌が過剰に増殖し炎症を起こします。
外耳炎のリスク要因
・アレルギー性皮膚炎(アトピー性皮膚炎)
・耳内が不衛生
・不適切な耳洗浄
・耳内に湿気が溜まりやすい(耳毛が多い、垂れ耳、耳の汗腺が多い)
・内分泌疾患や腫瘍などの基礎疾患
・子犬や高齢犬
・梅雨から夏にかけての高温多湿な季節
外耳炎をさらに悪化させる要因となる主な微生物
・細菌
・マラセチア(真菌)
外耳炎の原因となる主な寄生虫
・耳ヒゼンダニ
多くはかゆみを伴うため、耳をふる、掻く、床に擦りつけるなどの行動の変化が見られます。
また、耳垢が多い、耳が臭い、赤く腫れているなども典型的な症状です。
耳垢は原因によって特徴が異なり、細菌による外耳炎では黄色い膿、マラセチアでは茶色くて臭い、耳ヒゼンダニでは黒くて大量、という違いがあります。
外耳炎の原因を特定するために、耳垢や患部をスライドグラスに押し付けたものを顕微鏡で観察します。
マラセチアや耳ヒゼンダニは、ほとんどの場合、院内の検査で診断可能です。
再発を繰り返す場合は、他の病気が隠れている可能性があるため、追加検査を提案することもあります。
症状がひどくなければ、点耳薬の投与から治療を開始します。
使用する点耳薬は、原因になっている細菌や真菌、寄生虫によって異なります。
症状が重い場合は、抗菌剤や抗真菌剤、抗炎症剤の内服や注射治療を行います。
耳ヒゼンダニは同居犬や同居猫にもうつるので、診断が出た場合はお早めに同居している犬や猫を診察に連れていらしてください。
耳の皮膚のバリア機能を正常に保つためには、定期的な耳のケアが必要でしょう。
ただし、耳を洗いすぎるなど、正しい方法で行わないと逆にバリア機能を損ねてしまうことがありますので、基本的には動物病院で耳のケアを行うことをお勧めします。
もし家庭でされる場合は獣医師に相談しましょう。
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