あまりいい話ではありあませんが、災害によって避難生活を余儀なくされ場合、飼っているペットの取り扱いをどうするかが最近よく問題となっています。 倫理上の問題も含めた早急な法整備が急務だと思います。 飼い主様側でできることは限られてしまうのですが、数日分の食事を用意すること、排泄のためのペットシーツなどの用意などがあげられます。 不幸中の幸いではありますが、猫は犬と違って、野外に放つ必要はありませんので、基本的にはキャリーの中のみでの管理が可能です。 ただ思わぬアクシデントによって、キャリーから逃走してしまうような最悪の状況も想定はしておかなければなりません。 一度姿を消した猫を見つけることは不可能に近いため、猫自身が姿を現してくれるのを待つしかありません。 そうした最悪のケースに対し、事前に行ったほうがいいことと言えば「マイクロチップ」です。 動物病院でも多くの飼い主様が去勢手術を行った際にマイクロチップをご希望されます。 今回はそんなマイクロチップについてご説明させていただきます。
マイクロチップとはそれぞれに15桁のID番号が記されている磁気チップです。 ID番号は世界共通の規格であり、どこの国でもそのID番号から、その動物の種類、年齢、性別、飼い主様の情報などが読み取れます。 大抵は動物の首筋に挿入し、専用のリーダーで読みとります。
犬を家に向かい入れようと思った場合、ほとんどがブリーダーもしくはペットショップから購入されると思われます。 最近では、こういった生体販売を行う際には、販売時にマイクロチップを事前に挿入しておくことが通例となっています。 ですので犬の場合は、ほとんどの犬がマイクロチップを挿入しています。 一方猫の場合、保護した仔猫をそのまま飼うことも多く、そういった猫には当然ながらマイクロチップは挿入されていません。 マイクロチップの挿入率は犬よりも猫のほうが圧倒的に低いと思います。
理由は一つだけです。 マイクロチップは挿入する際、マイクロチップを挿入するための注射器を使用するのですが、その針がとても太いので、見た目痛そう・・・。
実際の写真で言うのであれば、向かって左側がワクチンなどを注射する際に使用するもので、右側がマイクロチップ用です。 少しわかりずらいかもしれませんが、その差は歴然です。 去勢手術の際は全身麻酔を使用するので、太い針をさしても痛くない時に・・・と考えるのが自然だと思います。
マイクロチップの副作用はほぼないと言われています。 実際に、私自身も見たことはありません。 ですが、最近になって、MRIなどの磁気を使用した特殊な検査機器が獣医医療でも比較的身近になってきたのですが、マイクロチップを挿入していると、マイクロチップの磁気が邪魔をして、挿入している付近の撮影ができません。 特に頸部の疾患を起こしやすい動物は、マイクロチップがあるために検査が出来ず、正確な病状を読み取ることが不可能になることが多くあります。 今後こういった際の対応も必要になってくるのでしょう。
現在、マイクロチップは任意であり、その認知度も完璧なものではありません。 獣医師の目線から言うのであれば、動物の個体認識は色々な場面で必要なケースも多く、決して無駄にはならないものだと思います。 去勢の際には一度検討してみてはいかがでしょうか?