オス猫が”尿スプレーするようになる”、”外に出たがるようになる”など、去勢していない猫の飼い主なら、こんな発情(さかり)の行動を目にしたことがあるかもしれません。
このようなオス猫の繁殖シーズンの行動が、去勢手術を考える一番のきっかけではないでしょうか。
「私の猫はそんな事はしないから、去勢する必要はありません」かというと、もちろんそうでもありません。
そもそも、これらのオス猫は本当に「発情期」なのでしょうか?
実はオス猫には発情期というものはなく、一年中いつでも交尾は可能なのです。そのため、タイトルにもあるように、オス猫の繁殖シーズンはメス猫次第になっています。
オス猫の繁殖シーズンはメス猫次第
確かにメス猫には発情期があります。
発情のサインとして、高い声で鳴くようになったり(calling)、オス猫を受け入れるためにおしりを持ち上げたり(lordosis)などの行動の変化もみられます。
ちなみに猫は季節繁殖動物といわれ、発情の時期は、日照時間や太陽光の強さに影響されます。日本では通常1月~8月くらいでの発情が多いようです。
しかし、室内で飼育されているようなメス猫では、異なる時期に発情を繰り返すような場合もあります。
少し話がそれましたが、オス猫はこのようなメス猫の発情に呼応する形で繁殖シーズンを迎えるのです。発情期のメス猫の鳴き声、行動、臭いやフェロモンなどの影響を受けることで繁殖行動をとるようになります。
繁殖シーズン中のオス猫は、自分の縄張りを主張するために尿スプレーによるマーキングを行ったり、尿の臭いが強くなったりなどの変化がみられるようになります。
また、メス猫を探すための放浪癖や他の猫との喧嘩が多くなることもあります。ただし、これらの変化があまり顕著にみられない猫もいます。
オス猫の性成熟
オス猫の性成熟は約8ヶ月。早い猫で5ヶ月齢から、遅くても8ヶ月齢には精巣内で精子がつくられるようになります。
また、性成熟をしたオス猫は陰茎に細かいトゲが生えています。(メス猫は交尾による刺激が引き金になり排卵をするので、交尾の刺激を強くするためにオス猫の陰茎にはトゲがついています)
つまり、8ヶ月齢を越えたオス猫は、尿スプレーや放浪癖が無くても、いつでも交尾できる体になっているのです。
発情(のような)行動をオス猫がとっていないのは、発情期じゃない、しつけが上手、というわけではなく、単に猫が「その気」になっていないだけかもしれません。
まとめ
尿スプレーや放浪癖はオス猫の去勢を考えるうえで、確かに重要な要素ではあります。
しかし、オス猫は普段の行動だけで去勢手術が必要かどうか判断することはできません。
尿スプレーや放浪癖のない猫でも、性成熟を過ぎていれば、メス猫にいつ反応してもおかしくありません。
ひとたび発情期のメス猫を前にすれば…、しっかり「オス猫」としての役割を果たしてくれることでしょう。