皆さんの飼っている犬は何歳ですか? 通常は小型犬で8歳頃から、大型犬で6歳頃からすでに高齢期と言われています。 まだまだ元気なのに・・、とお思いの方も多くいらっしゃると思いますが、実はこの年齢になると様々な病気が起こる可能性が高まってくるのです。 歳をとってから何かあって慌てるよりも、若いうちに対処できることがあればやっておきたいものですよね。
このお話についてオス犬を飼っていらっしゃる方に限定すると、若いうちは去勢のメリットよりもオス犬らしい体つきや元気の良さから去勢手術をしないまま時が過ぎていくことが多くあります。 実際、若いうちに去勢手術をされる方は50%程度にとどまっているように思われます。 しかしながら、若いうちに去勢手術をしないでいると、いざ判断を迫られた時に年齢の壁で大いに悩むことになるかもしれないのです。 高齢犬で去勢手術をするかどうかの判断を迫られる例として、 ・精巣腫瘍ができた ・性ホルモンの影響で発生する病気になった おおよそこの二つに大別されると思います。
精巣腫瘍ができるリスクは、そうです、「去勢していない」オス犬にしか見られません。 これは高齢期に入ったオス犬に多く認められます。腫瘍の種類にもよりますが、およそ9〜11歳が平均的な発症年齢になります。 そして、精巣腫瘍は良性のものもありますが、悪性の場合も多くあります。 治す場合には腫瘍摘出に伴う去勢手術が必要とされ、その去勢手術を行えばほとんどの場合で根治できると言われているのです。しかしながら、まれにではありますが転移する場合もあるため、出来るだけ早い対処が必要です。 もし、10歳以上でこの病気になった場合、術前検査をしっかりした上で麻酔がかけられると判断されたら手術するべきだと、私は思います。
性ホルモンが関係する病気といえば、 前立腺肥大、会陰ヘルニア、肛門周囲腺腫があげられます。 前述にもこれらの病気の説明がありますので、是非一緒にお読みくださいね。 https://www.hikarigaoka.net/331 https://www.hikarigaoka.net/321 https://www.hikarigaoka.net/645 以上を踏まえて、これらの病気は生活の質(QOL)を落とす場合が多々あり、場合によっては命にかかわることもあります。 やはり命にかかわる事態になる前になんらかの対処をしておかなくてはなりません。 もちろん安易に去勢手術という前に、高齢である以上手術に耐えられるかどうかを調べておく必要があります。実は心臓が悪かった、など他の病気が見つかった場合は獣医師とよく相談して、何を優先させて治療に当たるかを決めなくてはならないでしょう。
いかがでしたでしょうか? 最も大事な考え方としては、病気がその子の生活の質を落としているのかどうか、そして病気を治すための手術が必要な場合でも事前の検査を怠らず手術や麻酔に耐えられる体かどうかを見極めることが大切なのです。 高齢である以上、安心して去勢手術をすることはできません。しかし、病気とその子の体との関わりの中で必要な手術はやるべきだと思うのです。 あとは大切なペットを守る飼い主さんの気持ち次第かもしれません。