オス猫の去勢手術はみなさんの考えとして何を期待していらっしゃいますか? 多くの方は、脱走させないようにとか、おしっこをいろんな所でさせないようになど、猫の本能行動をある程度抑制することを期待して手術を受けさせていると思います。 でも初めて手術を受けさせる場合、実際はどういう変化が起こるんだろう?期待した変化は起こるのだろうか?と不安に思うことが多くあると思います。 よって今回は、皆さんの去勢後に起こりうる様々な変化についてお伝えしようと思います。
元々攻撃的な猫で、家族の手を焼いていた我が仔。 なんとかしてこの攻撃性を落ち着かせたいと思っている場合、やはりまず考えるのは去勢手術だと思います。 飼い主さんの大半がこの去勢手術で何とかなると思っているはずです。 獣医師としての意見は、「去勢後は性格が穏やかに変わっていくことが多い」です。 皆さんの期待通り、攻撃性の強い猫はまず去勢をすることが勧められます。 ただし、その仔の生い立ちや環境、元々の性格、品種による遺伝的性質など、さまざまな要因によってその攻撃性が解消されない場合もあるのです。 子猫から育てていくなかで、可愛いからとあまりちょっかいをかけすぎると、徐々に噛み付いたり引っ掻いたりという攻撃性がヒートアップしやすくなる場合があり、育て方にも注意が必要です。 また、品種によっては、やや気難しい気質の猫もいるため、飼い始める前には十分調べてから飼うようにしたほうが良いと思います。
去勢後はすぐに行動の変化が現れるわけではありません。 飼い主さんの多くはすぐに性格や行動パターンが変わると思っている方が多いと感じます。 性ホルモンの分泌は性腺(ここでは精巣)を摘出することで無くなりますが、かといって体が急に変わるわけではないのです。体におけるホルモンは性腺の摘出後働かなくなり、それに伴う体の反応が徐々に伴っていくという感じだと思っていただければ良いと思います。体がびっくりしないように緩やかに体が順応していくのでしょうね。 体が去勢されたことに順応すれば、外へ出たいという欲求がなくなり、比較的ゆったりと1日を過ごすようになります。でも若い猫であれば体力は有り余っていますから、ハンターとしての獲物を狙う行動や、じゃれついて遊ぶ行動は失われることなく発揮されます。
去勢後は食生活において実際は大きくは変わらないと思っていいと思います。 太りやすくなる、などと言われますが、犬と違って猫はそれほど差はないと思います。ただし、体の筋肉量や引き締まった感じは失われ、いわゆる「下っ腹」がたるんでくることが多いように感じています。 もちろん食事には気をつけるに越したことはありません。猫は気ままに「ダラダラ食い」をすることが多いですから、なんとなく食事を足していたら気がつかないうちにたくさん与え過ぎていた、なんてこともありますのでお気をつけ下さいね。
いかがでしたでしょうか? 攻撃性や行動の変化を去勢後すぐに期待していまうと、期待外れに感じてしまうかもしれません。でも、時間が経てばちゃんと穏やかな猫に変わっていくと思いますので、気長に待ちましょう。そして、攻撃性がなかなか改善されない場合は環境や元々の性格など、その他の理由が潜んでいるかもしれませんから、その場合は獣医さんに相談しながらその他の方法も模索していかなくてはならないかもしれません。 猫ちゃんが人と幸せに暮らせるように、色々と工夫していってください。