オス犬は去勢手術をせずに自然のままにしておくと、必ずと言っていいほど排尿時に片足を上げて排尿するようになります。 これがなぜかと言いますと、性ホルモンの影響でマーキング(匂い付け行動)が活発になり、出来るだけ他の犬よりも高い位置に上からおしっこをかけることで優位性を高めることができるからなのです。 マーキングくらい犬本来の行動だからどうってことないじゃないか、と気にされない方であれば問題はないのですが、室内で飼育しようとしている方にとってはこの問題はなかなか重要になってきます。 ペットシーツを敷いたとしても壁におしっこが飛び散ってしまう・・。 室内が排泄物で汚れてしまうことだけは、現代社会の中で犬と人が共存していくためにも避けたいことですよね。 では、このマーキングをいかにして効果的に抑えることができるのでしょうか?
性ホルモンを抑えるには去勢手術をする必要があることは、ほとんどの方は理論上お分かりだと思います。それでは、時期はいつでも良いのでしょうか? 実は、すでに片足を上げて排尿をしている仔に去勢手術を行うのでは、足上げ排尿は治らないのです。すでにその行動が自分のものになってしまっている以上、去勢手術により性ホルモンの抑制がなくなったところでそう簡単には治らないものです。 そうなると、できるだけ早く去勢手術を行うことが大切になりますよね。 成長期における去勢手術可能時期になるのが一般的には6ヶ月齢からと言われていて、まだその頃には足上げ排尿行動はしていないことが大半です。 よって、その頃に手術を行えば足上げ排尿行動はまず抑えられるはずです。
オス犬というのは決った発情期がありません。 どうやって発情行動を起こすようになるのかといいますと、メスが発情期となった時に陰部から発情を示す分泌物が匂いとなってオス犬を刺激します。この匂いを嗅ぐことでオスは非常に興奮し、交尾行動を起こすようになるのです。 では、この発情と足上げ排尿行動がどう関係するのかというと、 オス犬は他のオス犬に対しての優位性をマーキングで示していることから、発情しているメス犬に対してより強いオスであることを排尿においてもアピールし、積極的にマーキングを行います。よって、発情しているメス犬の匂いを嗅ぐと本能的にマーキングを行うようになってしまい、去勢手術をしてもメスの匂いで反射的にマーキングをしてしまうようになるケースがあるので注意が必要です。
もし残念ながら片足上げ排尿行動が起こってしまったら、諦めるしかないのでしょうか。 確かに簡単には修正することはできませんが、「しつけ」で改善させる余地はあると思います。トレーナーさんにお願いすることも可能でしょうが、まずは排尿時に上げた片足を床につけるように促したり、排尿のタイミングを飼い主側でコントロールするなどしてみましょう。 去勢済みの仔であれば素直に受け入れて修正されるかもしれません。
いかがでしたでしょうか? 犬と人間の共存を図るためには色々な工夫が必要ですし、犬のストレスにならないようにコミュニケーションをとりながらも諦めずに犬と向き合うことが大切なのだと思います。