近年の人気犬種ランキングではチワワやミニチュアダックスなどの小型犬が常にその上位を占めております。
その中でも、この数年ナンバーワンの人気犬種が「トイプードル」。
トイプードルには、我々獣医師から見ても沢山の魅力があります。
小型犬の中でも体は小さい方ですが、運動能力は高く、活発。
明るく社交的な性格に加え、無駄吠えも少なめで、とても賢い犬種であると言われています。
また、抜け毛が少なく臭いも気になりにくいのも特徴です。
このような点から、トイプードルは室内での飼育に非常に適しており、多くの飼い主から長い間支持されています。
そんな愛らしいトイプードルと一緒に暮らしている、これから一緒に暮らしたいという方々が気になるのは、やはり愛犬の健康について。
とくに去勢手術や避妊手術を迎える前の飼い主は不安でいっぱいです。
今回は人気犬種トイプードルが去勢手術を迎える前に気をつけておきたいポイントを確認しておきましょう。
去勢手術をする前に
どのような犬種においてもそうですが、去勢手術をするにあたって、まずはしっかりと健康診断を受けてもらう事が重要です。
先天的な病気や若い年齢で気をつけておくべき病気もあります。
特にトイプードルにかかりやすい病気は、この時からしっかりチェックしてあげましょう。
生殖器の病気
トイプードルの様な小型犬では、停留精巣(陰睾丸)と呼ばれる生殖器の異常がみられることもあります。
これは去勢手術とも大きく関わるところですので、手術前に必ず確認が必要です。
通常は生後~2ヶ月齢で、お腹の中にあった精巣が内股の部分を通って、睾丸の中まで移動してきます。
この移動が上手くいかないと、お腹の中に精巣がとどまってしまったり(腹腔内陰睾)、内股の皮膚の下の所で止まってしまったり(鼠径陰睾)するのです。
もし、2ヶ月齢になっても正常な位置に精巣がなければ、停留精巣の可能性があります。
停留精巣と診断された場合、通常の去勢手術とは手術の内容が異なりますので、去勢のタイミングや手術方法について獣医師から説明を受けるようにしましょう。
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歯の病気
乳歯が抜けずに残ってしまう、乳歯遺残もトイプードルなどの小型犬では多くみられます。
乳歯は4~5か月齢から永久歯に生え変わり始めるのですが、
永久歯が生えてきているにも関わらず、乳歯が抜け落ちずに残ってしまう場合があるのです
残った乳歯の周囲に歯石が付着しやすかったり、残った乳歯が折れてしまう、噛み合わせが悪くなる、などの不具合の原因になることも。
このような不具合を予防するために、去勢手術の麻酔時に一緒に残った乳歯を抜く処置をすることがあります。
去勢手術のタイミングでも乳歯が抜けずに残っているようなら、抜歯を行うかどうか相談をしてから手術に臨めると良いですね。
麻布クリニックは12月29日を持ちまして閉院し、月島クリニックと統合いたしました
骨と関節の病気
ご存知の方も多いと思いますがトイ・プードルで良く見られる病気の一つが股関節や膝の病気です。
そのなかでも膝蓋骨内方脱臼という、膝のお皿が外れてしまう病気には良く遭遇します。先天的な関節の構造が原因となるのですが、目立った症状がないため気がつかないままになりがちです。
重度の場合、成長とともに後ろ足の変形を伴い、外科手術が勧められることもあります。
そのまま様子を見て良いものか、健康診断の時には良く相談をしておきましょう。
まとめ【実際の手術に違いはあるのか】
トイプードルの去勢手術において、特別な事は通常はありません。
現在動物病院に来る犬たちの中では体重も平均的で、健康状態が良好であれば手術の内容も珍しいものは無いでしょう。
普段が活発な犬種だけに、手術直後は元気がなくて心配になることもあるかと思いますが、数日後には持ち前の明るさで不安を吹き飛ばしてくれることでしょう。
だからといって手術や麻酔は100%安全なものではありませんので、その点は十分に理解しておく必要があります。