現在日本において、どれほどの猫が殺処分されているかご存知でしょうか?
平成25年度における全国の犬猫殺処分数は128,241頭に登ります。猫の殺処分数はそのうち99,671頭を占めています。
まだまだ救われることの少ない猫たち
動物愛護団体などの活動によって、譲渡および返還数は少しずつ増え、殺処分数は毎年少しずつ減ってきています。実際、「うちのネコももとは捨てネコだった。」という人は少なくないのではないでしょうか。
しかし、動物愛護センターや保健所に引き取られた猫のうち、86%までもが殺処分という不幸な運命をたどっており、
譲渡や返還などで生還を果たすものは、わずか14%に過ぎません。
また、地域によって差はあるものの、東京都の場合、都の動物保護センターに持ち込まれる猫のうちの約90%は離乳前の子猫です。
このような現状を考えても、外に遊びに出る猫や、世話をしている野良猫に、避妊・去勢手術を行なってあげることは大きな意味をもつことでしょう。
野良猫の問題
行政によって引き取られる猫のうち、78%近くが「所有者不明」、すなわち野良猫という内訳なっています。
不妊手術を受けていない野良猫を野放しにすると、繁殖期に合わせて子猫はどんどん増えてしまいます。
猫の繁殖力は強く、「自由に交配できる環境で暮らすメス猫の場合、10年間で50~150匹の子猫を出産する」、「
1世代ごとに8匹の子猫が生まれたとすると、始めは1匹だった猫が7年後には174,760匹にまで増える」とまで言われています。
地域の取り組み
「地域猫」は、餌をあげる場所や寝るところが決められていて、避妊手術をうけている、「野良猫」とは区別される猫たちのことです。
また、「地域猫活動」とは、地域猫を地域の方々が世話をして、猫たちの数を増やさないようにしようとする活動です。
地域猫活動には、避妊・去勢手術を行うこと、餌を与える場所を決めて周囲に迷惑をかけないように配慮することなど、ルールが決められています。
餌をあげているというだけではなく、
しっかりと繁殖管理をした上で、地域全体で猫を共同飼育しようという取り組みが地域猫活動です。
また、TNR活動と呼ばれる活動も行われています。TNR活動とは、「Trap」(捕獲)、「Neuter」(避妊・去勢手術)、「Return」(戻す)の頭文字が名前の由来で、「野良猫を一時的に捕獲して避妊・去勢手術を行い、またもとの場所に戻してあげる」ということです。
動物病院の役割
野良猫や保護猫の避妊手術に対して、
協力的な動物病院は数多くあります。
手術の際も、退院後はすぐにもとの場所に戻せるように、傷口をできる限り小さくし、皮膚の縫合は体に吸収される糸を使用したりします。
また、避妊手術を施された野良猫は、外見だけで未避妊の猫と区別できるように、その印として左耳の先を少し切り取ることが多いです。このような猫は「さくらねこ」と呼ばれます。これは、耳の形がちょうど桜の花びらに見えるからです。
もし片方の耳が欠けている猫を見かけたら、それは怪我をしたのではなく、きちんと避妊・去勢手術をうけている印かもしれません。
愛護団体や保護団体というと躊躇してしまう方は、個人的にでも問題ありません。
「気になる猫」が思い当たるのであれば、猫の取り扱いや手術後のこと、手術の料金など、動物病院に一度相談をしてみてはどうでしょう。
まとめ
お世話をしている野良猫や、偶然にも保護をすることになった子猫にとって、頼ることのできる人間はあなたしかいないのかもしれません。
行ってあげた去勢・避妊手術は多くの不幸な猫を減らすことに繋がることでしょう。